「だったら、なおさら!早く、早く帰らないと、時間が!」

・・・俺なんかのために、やめろよ。死ぬのが怖くなっちまう。

そう思いながらも、健治ははじめて桜を愛しく感じていた。

こんな気持ちが自分に生まれたことに、自分でも驚いた。

「大丈夫だ。それより、思い出せよ。これまで守の姿を見たやつはいたか?」

「え・・・ええと」

「いないんだよ。ひょっとしたら呪いにかけられた人だけが見えるのかもしれない」

「そんな・・・」

「だとしたら、0時になってもお前には見えないだろ?どっちにしても俺はヤラれるんだよ」

その言葉に、桜は言葉を失う。

今、桜の目に涙がたまり、頬を伝った。

「泣くなよ」

「う・・・だって・・・」


・・・こっちまで感傷的になっちゃうだろうが。