「あんた、榊原っていうのか?」

驚いて健治は尋ねた。

「あ、はい」

「俺も榊原っていうんだ」

「奇遇ですね。この辺じゃあまりない苗字ですよね」

「ああ」

そう言いながら、運転者証をもう一度見た健治の目が固まる。

運転者証の下には、『登録番号:3444』と書いてあったのだ。


・・・444


「・・・そういうことか」

急におかしくなって笑みがこぼれた。

「あの、お釣り」

「いいんだ。とっておいてくれ。仕事、がんばってくれよな」

そう言ってタクシーから降りた。