「つきましたよ」

そう言われて目を開ける。

知らないうちに眠ってしまってたようだ。

さすがに寝不足がたたっているらしい。

「いくら?」
あくびをしながら尋ねる。

「ええと、2350円になります」
ポケットから財布を取り出し、5000円札を渡す。

「釣りはいらねぇ」

「え!?でも・・・」

「いいんだよ」

そう言って、助手席側の窓に貼ってある運転者証を見た。


『津久居タクシー 榊原准』と印字されている。