「ああ。やっと思い出したんだ」

「で、それをこんな夜に?」
健治が答えたことに安心したのか、運転手が饒舌になる。

「そ。それを片付けなきゃな、と」

「取りに行くんじゃなくってですか?」

不思議そうに、バックミラー越しに健冶を見た。

「片付けるんだ。全部きれいに」

そう言って健治は目を再び閉じた。


・・・全部、終わらせるんだ。