「・・・あいつ」

今朝の桜を思い出して、健治はフッと笑った。


『うん。だから、私が会いに行く』


そう言って、まるで友達に会いに行くかのように桜は笑った。

力と態度だけで強さを誇示する自分と違って、あれが本当の強さなのだと、健治ははじめて知った。

以前、桜の名前を『春だけの命』なんてバカにしたことが悔やまれる。

・・・バカは俺の方だ。


「死ぬのは怖くない。でも、このまま終わりたくねぇ」

健治は、立ち上がって空を仰いだ。

「聞こえてるか、守。どっちみち俺を殺すんだろ?一番の恨みの相手は俺なんだからな。だったら、444を見せてみろよ。見せねぇんなら、俺がお前に会いに行くからな!」

大声で叫ぶ。