なんだか・・・人は、その人を知ってゆくと、苦手じゃなくなるのかな。

“嫌い”とか“苦手”は、案外、自分が壁を作ってるからこそ生まれてしまう感情なのかも。

「教えない」
私もそっぽを向いて言った。

「チェ」

「ま、そのうちね」
笑いながら、もう一度本に目を通す。


・・・守を知れば、守のことも好きになるのだろうか?


健冶が出て行ったあと、私は本を繰り返し読みながら、正輝を待った。




が、いくら待ってもその日、正輝は現れなかった。