ガラッ

扉が勢いよく開けられる。

正輝にしては早い時間なのを不思議に思って、そっちを見ると、

「おう」

健治が立っていた。

前の威勢はなく、ふてくされた顔で近づいてくる。

「・・・どうしたの?」

健治は聞こえているのかいないのか、椅子を乱暴に引き寄せるとドカッと座った。

足を広げて腕を組んで、私を見る。


「・・・助けてくれ」


「榊原君・・・」

その目には、以前のような戦いを挑む強さはない。

きっと、彼にとっては勇気のいる言葉だっただろうな。