「私、足遅いから」
思考を中断し、知佳は言った。

「・・・どうしようかな。じゃあ、44秒あげるから逃げて」

「・・・分かった。ウソつかないでよ」

そう言うと、知佳は扉の鍵をゆっくりとはずす。

扉を開けたそこには、守がいた。

今から始まる遊びに、ワクワクしている様子で興奮気味に笑っている。

「守・・・」

信じられない。

あのころのままの守の姿が目の前にある。

暗くて顔色までは分からないけど、まるで生きているみたいだった。