濡れた髪からしずくが落ちる。

「・・・それだけ?」

「うん。約束する。祭壇にあるろうそくを吹き消したら知佳ちゃんの勝ちにするね」

「・・・ハンデちょうだい」

もう、震えは止まって、息を静かに整えながら知佳はこの変な会話を受け入れていた。

「えー」

キャッキャッと守の笑い声。

・・・こんなふうに笑うんだ。

そういえば、守の笑い声なんて聞いたことなかったな。


いっつも、泣いていたから。

泣かせるのが日課だったから・・・。