遠くからでも分かる。

やせた小さな姿。


・・・守!?


知佳は、守に気づかれないようにトイレにすべりこむと、静かにドアを閉める。

音を立てないように気をつけながら、一番奥の個室に入った。

自分の手じゃないみたいに震えている指先で、扉を閉めると鍵をかけた。

小さな窓からの光がほのかにトイレに差しこんでいた。

まるで夜みたいに暗い。

・・・どうか、どうか!見つかりませんように。


無意識に両手を握り合わせて祈っていた。

歯がガチガチと音を立てて震える。

気づかれたらどうすんの!と自分を戒めるが、今度は両手が激しく震えた。