「やめて!お願いやめて!イヤ!誰かああああ」
叫んでも、周りに人影は見えない。





右 左

右 左

横断歩道に向けて速度が上がる。

止めようとすればするほど、早足になってゆく。


ブロロロロ


聞こえるエンジン音に、亜矢音はハッと顔を上げた。

通りの向こうから、大型トラックが勢いを増して走ってくるのを、亜矢音は信じられない思いで見た。


「誰か、助けて!誰か!」