「あたし・・・あたし・・・」

「ほら、もうすぐ横断歩道が赤になるよ」
守が後ろを振り返って指をさした。

目の前にある横断歩道、その信号が点滅している。

青い色から、赤い色へ。


「知ってる?赤信号で渡っちゃだめなんだよ」

その言葉と同時に、亜矢音の右足が勝手に前に出た。

続いて左。

今、まさに赤に変わった横断歩道に向かって進みだす。


「なに、これ!足が、勝手にっ」

両手で足の動きを止めようとするが、まったく言うことを聞かない」

「赤信号で渡ると、死んじゃうんだよ?」
屈託のない声で守は言った。