無言で店員の男がレジを打ち出す。

最近入った新人らしいが、愛想のなさはクラスでも評判だった。

田舎だからこんなことでもすぐに周知の話題となる。

「以上、556円」

やる気のなさ全開で、めんどくさそうに店員が言う。

亜矢音は、1000円札を投げるように渡した。


全部がイライラする。


なにもかもむしゃくしゃして、自分でも分からないうちに人を敵だとみなしてしまう。


「バカみたい」
思わずこぼれた言葉に、店員が、
「は?」
と聞き返すと、いぶかしげに亜矢音を見やった。