「もしもーし」

歩きながら知佳に電話をする。


「亜矢音、どうしたー?」
知佳の声が聞こえる。

「どっかいかね?」

町といってもたいした遊び場もないけど、22時までならゲーセンとかも大目に見てくれる。

「えっ、今から?」

角を曲がると交差点に差しかかる。


「まだ早いしさ、ひまなんだよね」

「・・・」

信号を渡ると、コンビニの光がひときわ明るく輝いている。

駅前と言ってもさみしい光景。

コンビニに集まる客は、まるで火に集まる虫のよう。