いつ?


どこで──


「危ないっ」


水樹先輩の声に、私の意識がハッと我に返る。

直後、私の体は水樹先輩に抱き止められていた。


ほとんど倒れている体。

座りながら私を抱き止めている水樹先輩の姿に、滑って転んでしまったんだと理解した。

そして、この体勢からして、もう少し助けてもらうのが遅かったら、私は頭を強打していたかもしれないと悟る。


「あ……ありがとうございます、せんぱ──」


先輩。

続けるはずの言葉は、最後まで発せられなかった。


だって。


「良かった……」


水樹先輩が


泣きそうだったから。