水樹先輩の手は、私のてのひらを掴んでいる。
感じる強さはそこではなくて。
私の手首をしっかりと掴む温かいものは。
「玉ちゃん! 真奈ちゃんの反対の手を引け!」
声を振り絞る会長の手。
「わかってますって! 望月っ、こっちに手ぇ伸ばせ!」
真剣な顔で私に手を伸ばすのは、藍君で。
「かいちょおおおお! 早く助けてあげてくださいいいっ!」
水樹先輩を落ちないように支えてくれてるのは、赤名君で。
「望月さんっ! 頑張って!」
力を貸すように藍君の腕を引くのは、三重野先輩。
私は、目の前に起こった奇跡にボロボロと大粒の涙を零した。