そんな風に考えていたら、自然と足が体育館裏へと向かってしまう。


もういないのだということは理解しているけど、何かを求めるように私の足は動いていた。


そして、辿りついたその場所には──


「あ……」


もう帰ったとばかり思っていた、水樹先輩の姿。

先輩はコンクリートの石段に座り、子猫たちに用意したスノコや、餌が入ったままのお皿を悲しそうに見つめている。


「水樹先輩」


私は遠慮がちに声をかけた。

けれど聞こえなかったのか、水樹先輩から返事はなく視線も動かない。

だから私は、もう一度声をかけようと唇を開いたのだけど……


その瞬間。


「もう、俺にかまわないで」

「……え?」


一瞬、何のことかわからずに私は聞き返してしまう。