スターツ出版文庫編集部 特別座談会!「第10回 スタ文大賞の新テーマについて」

2025年6月

司会:ついに! スターツ出版文庫大賞は今回で開催10回目となりました!


一同:拍手


司会:記念すべき10回目のスタ文大賞ですが、昨年から部門が変わっています。どのように変わって、どのような作品を求めているのか、ざっくばらんなお話を編集部のみなさんにお聞きできればと思います。よろしくおねがいいたします!


一同:よろしくお願いしますー!

①【青春小説】青春・恋愛

司会:昨年は新たに「“アンチ青春”エンタメ」部門が新設され、大人女性向けジャンルも具体的なジャンル名を付け募集をしました。今回、いちばん大きく変更されるのはどの部門になるでしょうか?まずは、青春ジャンルについてお聞きしたいです。


A:今年は大きく「青春小説」としてくくり、その中で「①青春恋愛」「➁アンチ青春」「③同性同士の青春」と部門を細分化しました。


B:意図として、募集ページにも記載されていますが、より読者に近いレーベルでありたいという思いから、部門を細分化し幅広く作品を募集することとなりました。


司会:なるほど!ではそれぞれの部門について、お話をお聞かせください!


A:では「①青春恋愛」部門から!昨年と異なるのは最後の一文。


B:特殊な舞台設定や仕掛けなどで、感動・涙できるような新しい青春恋愛作品をお待ちしております」というところですよね。


A:そうです!スターツ出版文庫も今年の12月で10周年を迎えますが、その分だけ作品も出ているということです。


C:昨年までたくさん刊行していた「余命」や「記憶」という人気だったジャンルですが、結構飽和状態ですよね。


D:ですよね。けど、ただ「余命」や「記憶」が決してNGということではないです。ここまでたくさんの作品があると、差別化も難しいのかなと。将来的に本になるときのパッケージに「余命」や「記憶」以外で、読者が今までと明らかに違うなと思えるような、強い要素。「余命」や「記憶」を超えるような、推しだせる要素が欲しいですね。


A:たとえば、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(汐見夏衛/著・スターツ出版文庫)も、大きくとらえたら「余命」といってもいいのかもしれないです。


B:たしかに「特攻隊」という、避けられない死が待ち受ける状況におかれているという意味では同じですよね。


A:今映画化で話題の『か「」く「」し「」ご「」と「』(住野よる/著・新潮文庫)も面白い仕掛けを使っていますよね。登場人物それぞれが人の感情を読み取れる特殊能力を持っている。


D:面白いですよね。そのほかにも『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(七月 隆文/著・宝島社文庫)も、しっかり恋愛描写を描きながら物語の軸の部分がすごく大きな仕掛けになってる。


司会:なるほど…!「特殊な舞台設定や仕掛け」という箇所、分かった気がします。王道の青春恋愛を描きつつも、物語全体の構造で驚き感動できるような設定があるとなお良いということですね!


A:はい。面白い仕掛けのある作品をお待ちしております!

『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』汐見夏衛/著(スターツ出版文庫)

『か「」く「」し「」ご「」と「』住野よる/著(新潮文庫)

『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』七月 隆文/著(宝島社文庫)

➁【青春小説】アンチ青春

司会:それでは続いて「➁アンチ青春」部門についてお聞きできますか?去年と少し募集テキストが変わっていると思うのですが、これは募集したい作品に変更があったということでしょうか?


D:そういうわけではないです。むしろ募集したい作品自体は変わりないのですが、より意図が伝わるよう、人間ドラマの部分に焦点を当てた募集テキストにさせて頂きました。


司会:なるほど、人間ドラマというと?


D:もちろん、ミステリー要素や、ホラー要素など、エンターテイメント性の部分も重要視していますし、そういった作品もとっても素敵なのですが「衝撃的なトリックがないといけない」、「すごい仕掛けがないといけない」などとは思わないでいただけると嬉しいなと思っています。そこを貫いた作品も大歓迎なのですが、そのあたりの要素を、あくまできっかけや物語の入り口とした作品も大歓迎です。去年も書いていたことと重複してしまうのですが、そこがご応募いただく際に意図せぬ障壁にならないといいなと…!


C:確かに昨年の受賞作で言うと『青春テロリズム』(朱宮あめ/著・スターツ出版文庫)は、誰かが殺されたりするわけじゃないですもんね。他人に見せたくない、でも、誰もが持っているようなネガティブな気持ちを抱えた登場人物たちが、むきだしでそれをぶつけあう部分が読みごたえがあって面白かったです。


B:まさにそうですね。特殊な設定や、事件が起きるわけではないですが、それ以上に当事者にとっていかに学校内での立場を守ることが重要であるかであったり、人間関係ののっぴきならなさであったり、差し迫った主人公の心情や思い、綺麗じゃない感情も含めて等身大に描かれているからこそ、ドラマチックさがあって、先が気になってページをどんどんめくってしまいました。


D:確かに。何も大きな事件は起きていないけど、当人たちにとってはとっても大きなことであることが読者も感じながら読めると、別にわかりやすい事件がなくてもハラハラドキドキして楽しめますよね。


A:それでいうと、少し参考になるかもといま思ったのが、村田紗耶香さんの『しろいろの街の、その骨の体温の』(朝日文庫)です。女子小学生の主人公視点で始まる本作、ファンタジックな設定や事件は起きないのですが、物語の前半部分に区切りがあって、区切りの前後で時間が経過し、主人公が小学生から中学生になっているんです。それによって主人公の状況、取り巻く世界ががらりと変わっていて、その差の大きさが凄くて衝撃的でした。これも突飛なことは起きていないんですが、当人たちにとっては小学生から中学生になることで変わる人間関係は一大事ですし、それが感じられるからこそ、こっちまでヒリヒリして読めました。


C:めちゃくちゃ面白そう…、そういった仕掛けもいいですね。


司会:ちなみに逆にいうと、逆にミステリー要素などを入れた作品でもいいんですよね?参考になる作品はありますか?


A:昨年のスタ文大賞だと『青春小説家の殺し方』(川奈あさ/著・7/28スターツ出版文庫より発売)はミステリー要素の強い作品でしたよね。設定がキャッチ―で、最初に冒頭を読んだときからすごい面白そうと思ったのを覚えてます。


B:単純に冒頭に起きる出来事にインパクトがあって、私も興味を惹かれました。


A:出来事自体がわかりやすくのっぴきならないですよね。だからこそ、誰にでも伝わりやすい。


B:あと『十二人の死にたい子どもたち』(冲方 丁/著・文春文庫)もめちゃくちゃ面白いですよ。死ぬために集まった子供たちが、ある出来事に直面してしまって、皆で議論をしていくんです。皆が話し合う中で、お互いの色々なことがわかったり、お互いの関係性変わっていくのですが…。


C:これも入り口がキャッチ―ですし、ミステリー小説としてもめちゃくちゃ面白いですよね。


D:確かにこうやって話を聞くと募集内容としては去年と同じですし、去年の受賞作はわかりやすく参考になるかもしれないですね。


A:そうですね。結局去年と同じことを言ってしまって恐縮なのですが、ものすごい仕掛けがないとダメとか、あっと驚くどんでん返しがないとダメとか、必ずしもそういうわけでは全くありません。そこも楽しみなのですが、一番はそういった出来事や状況に直面したときに、どう主人公たちが変わっていくのか。あるいはひとつ付け加えさせていただくなら、客観的に大きなことでなくても、当人にとって差し迫った状況であったり、のっぴきならない人間関係の中で、それを読者に感じさせつつ、その中でどう主人公が変わっていくのか。起こる出来事の大小だけでなく、それを受けとめる主人公にとっていかにそれが大きなことであるか、その差し迫った中で、だからこそどう感じ、行動し、他者とぶつかり合い、変わっていくかを読める作品を楽しみにしています。ぜひ、皆さんの想う「アンチ青春」をご応募いただけますと幸いです。

『青春テロリズム』朱宮あめ/著(スターツ出版文庫)

『しろいろの街の、その骨の体温の』村田紗耶香/著(朝日文庫)

『十二人の死にたい子どもたち』冲方 丁/著(文春文庫)

③【青春小説】同性同士の青春

司会:それでは続いて今年から新たに追加された「③同性同士の青春」についてお聞かせください!


A:はい。まずは大前提として「恋愛要素」はナシでお願いしたいです。


B:スターツ出版文庫で恋愛なしというのが、少し意外と思われるかもしれませんが、レーベルコンセプト「この1冊が、わたしを変える。」というところに注目すると必ずしも恋愛要素は必要ないというのが編集部での認識です。


C:あくまで「恋愛は主人公が変わるきっかけの一つ」ととらえるとわかりやすいかもしれないです。


D:たしかに。スタ文編集部では「成長感」という言葉をよく使っていますが、主人公が物語の最初と最後で成長する姿に感動し、勇気をもらえる。その結果「私を変える」1冊になった。という気持ちになれたというゴールを目指しています。


A:つまり、主人公が変わる(成長する)きっかけは同性が相手であっても良いということです。


C:誰でも良いのなら、たとえば高校生の主人公に対して変わるきっかけを与えるのが年の離れた先生や親、ということも良いの?ということも思われるかもしれません。ただ、同世代同士で感化され成長していく姿に、メインの読者層である中高生が共感してくれるのかなと考えているので、あくまで親や先生などの大人はヒントやきっかけを与えるくらいの立ち位置に抑えたほうがいいですよね。


司会:なるほど、それで「同性同士」に限定した新ジャンルを作ったのですね!


A:そうですね。もちろん異性間の青春ものも面白いのですが、そこには描かれていなくてもどうしても「恋愛」がちらつく。そこには下心があるかもしれません。それに比べ、同性同士の関係性(恋愛要素0の場合)はそういった裏を感じずに本心でぶつかり合う様が描けます。


D:同性同士のぶつかり合いって、アツいですよね。同性だからこそ偽ることなく言える本心がある。そこが今回の募集テーマの肝だと考えています。


B:同性同士だと描ける舞台も広がりそうですね。部活とかサークルとか。


C:成長感がしっかり描かれていて、かつ同性同士のぶつかり合いが描かれている作品で、これは漫画ですが『DAYS』(安田剛士/著・講談社コミックス)はめちゃくちゃアツいです!自分に全く自信がない、サッカー未経験だった主人公の柄本つくしが、名門サッカー部のある高校に入学し、サッカー部に入ります。そのきっかけとなるのが、つくしと正反対でサッカーエリートの風間陣。平凡と非凡。ただ、どちらが一方的に引っ張っていくわけではなく、お互いに良いところを認め合い引っ張り合い、成長していきます。そこがめちゃくちゃ面白い。


D:面白そう! ぶつかり合いやっぱりいいですね。


C:そう、それに加えてつくしと陣の所属するサッカー部の女子マネージャー・生方さんが作中で「時々さ男はいいよなって思う時があるよ 言葉でなくても伝わる気持ちがあるから」っていうセリフをいうんです。これが本質というか、同性同士の作品をスタ文で出す際に大切にしたいと思っています。あと『DAYS』はつくしと陣以外のキャラクターも個性豊かなんです。


A:主人公以外のキャラクターもしっかり立っていると、その要素が主人公の成長に繋がったりするので良いですよね。他、小説でいえば『2.43 清陰高校男子バレー部』(壁井 ユカコ/著・集英社文庫)も同性同士の部活ものですね。これもまさに正反対の主人公2人によるバレーボールを通した友情ものです。やはり互いに影響し合って成長していく。特に1巻のラストの展開、バレーボールの試合で巻き起こる出来事はムネアツ展開です笑!


B:面白いですよね。結局、伝えたいメッセージの根幹に「この1冊が、わたしを変える。」があることで、青春恋愛のような前向きになれる感動ストーリーになるのかなと。もちろん、女性同士のストーリーもお待ちしています。女性同士ならではの友人関係や、悩みの乗り越え方などがあると思うので。男子でも女子でも、アツくて感動できる、成長ストーリーをお待ちしたいと思います!

『DAYS(1)』安田剛士/著(講談社コミックス)

④悪役×和風シンデレラファンタジー

司会:では、続いて「④悪役×和風シンデレラファンタジー」についてお聞きできますか。


A:まず最初に言いたいのは、今回の“悪役”はヒロインを虐げる悪役ポジションを指しています。姉妹格差だといわゆる義妹などですね。そして、キャラクターとして「とことん振り切った悪」な存在だということ。中途半端な悪意では物足りない、むしろ、読者が「最低……!」とページをめくる手が止まらなくなるような悪役こそ、求められていると思います。


B:「ヒーローの嫁になりたいから、ヒロインを潰す」「両親に褒められたいから、ヒロインの足を引っ張る」――まさに、醜く、身勝手で、どうしようもない自己中心的な欲望のかたまりな悪役をぜひ!


C:この悪役と「絶対に分かり合えない!」という構図が明確だからこそ、ヒロインが乗り越えたときの「ざまあ!」が最高に気持ちいいんですよね。読者の中にある“怒り”や“憤り”を引き出してくれる、ある意味、物語の起爆剤ですよね。


D:しかも、和風ファンタジーの世界観が舞台。格式や掟、花嫁儀式、神や鬼との契約など、“逃げられない環境”がしっかりあるからこそ、悪役の支配力も強く描けますね。


司会:ヒロインにとっては、追い詰められる状況ばかりですね…。


A:だからこそ、最終的に“自分の力で這い上がる”ヒロイン像が映えるんだと思います。助けてもらうのではなく、悪意にさらされ、苦しめられながらも、最終的に自らの意思で道を切り開いていくヒロインを描いてほしいです。


B:「虐げられヒロイン」の流れは前回のコンテストでも人気でしたが、今回はそれに“悪役への徹底した報い”が加わっている点が大きな違いですね。


C:和風ファンタジーだから、抑圧的な社会、身分差といった“逃げられない構造”が作りやすい。その中で、悪役が「やりたい放題」してくれたら、読者の怒りゲージも爆上がりです。


D:そして、悪役には1ミリの救済もいらない。「こいつは地獄に落ちて当然」と思わせるくらい、徹底的に描き切ってほしいです。


A:逆にその潔さが作品のカタルシスを強くしてくれますよね。途中で「もしかして改心するのでは…?」なんて甘さは不要!最初から最後まで“絶対悪”で!


司会:なるほど、「振り切った悪」があってこそのスカッと展開、というわけですね。


B:『鬼の花嫁』シリーズ(クレハ/著・スターツ出版文庫)『傷モノの花嫁』(友麻 碧/著・講談社タイガ)『姉に身売りされた私が、武神の花嫁になりました』(飛野猶/著・スターツ出版文庫)など、既存の人気作のように、ヒロインが報われる展開は王道ですが、今回は悪役が堕ちていく様が爽快感をより引き上げてくれると思います。


A:悪役は一度痛い目を見ても懲りずに、何度でも蘇ってきてほしいですね。ストーリーの流れに沿っていれば、全部の章に登場するくらいの勢いでも。学習しない愚かさをしっかり見せられるといいのかなと!


C:2人以上の悪役が登場しても面白いですよね。悪意が競い合ってどんどん泥沼化していく、でも最終的に全員まとめて「ざまあ!」される、みたいな。


D:「こんな悪くて嫌なやつ見たことない!」と言われるくらい、常識を超えた悪役像をぜひ見たいです。

『鬼の花嫁~運命の出逢い~』クレハ/著(スターツ出版文庫)

『傷モノの花嫁』友麻 碧/著(講談社タイガ)

『姉に身売りされた私が、武神の花嫁になりました』飛野猶/著(スターツ出版文庫)

⑤型破りヒロインの和風ファンタジー

司会:続いて、「⑤型破りヒロインの和風ファンタジー」について。去年と異なる大きなポイントはどこになるのでしょうか?


D:和風設定に限定している点ですね。和風の世界観は継続して人気です!


B:去年の座談会でも話していましたが、型破りヒロインは、ヒーローからの愛を求めているわけではないんですよね?


D:そう!このヒロインは何か目的や信念を持っていて、その達成が最優先で、愛を必要としていない訳です。


C:なるほど!ただ、ヒロインの本来の強さや能力が発揮しきれていない境遇が前提としてある。そこから解き放たれるきっかけが、ヒーローとの出会いということですね。


A :ヒロイン像として、ポイントとなるのはずばり「能力」と「スパダリ」じゃないですか?


B:「スパダリ」⁉︎ ヒーローではなく、ヒロインが?


D:そうです! ヒーローが「スパダリ」設定の作品が王道でしたが、『ベル・プペーのスパダリ婚約~「好みじゃない」と言われた人形姫、我慢をやめたら皇子がデレデレになった。実に愛い!~』(朝霧あさき/著・SQEXノベル)のように、ヒロインがヒーローを凌ぐ最強能力を持っていて、ヒーローを守ってあげたり…プロポーズの決めセリフもヒロインが言ったりと、ヒロインがカッコイイスパダリなのです。


C:男女が逆転してますね。面白い!最近は強い女性像の人気作品が増えていますよね。


A:『ベル・プペーのスパダリ婚約』のヒロインは強いだけでなく、普段はお人形のように可愛く、虫も殺せなそうなキャラクターなのに実は最強、というギャップが魅力的ですよね!


B:ほんとそう!『結界師の一輪華』(クレハ/著・角川文庫)も低能力だと蔑まれているけれど、実は最強能力を隠しているというのがカッコいいですよね。


C:この部門では、いかにヒロインをカッコよく魅力的なキャラクターにできるかが肝になります。今まで、ヒーローで描いていた理想の設定をヒロインに詰め込んでみてもよいかもしれませんね!

『結界師の一輪華』クレハ/著(角川文庫)

⑥フリーテーマ

司会:では最後に、「⑥フリーテーマ」についてです。こちらは上記部門に該当しない作品ということで昨年と変わらないでしょうか?ちなみにその中でも特にこういう方向性であれば…みたいなことなどありますでしょうか?


A:はい、もちろんです。基本的にはなんでもよいのですが、体験として楽しめて人に伝えたくなるような仕掛け、エンタメ要素や、面白い切り口のある作品は特に大歓迎です。それは上記部門と差別化する意味でも。


司会:体験ですか?読書もある意味体験だと思うのですが、違う意味でということですよね?


A:読んだあとの感想として「感情」(切なくて感動した、など)を伝えたくなる作品も素敵なのですが、「体験」(5分後に結末が変わった、など)を伝えたくなる作品という意味です。感情は人に言葉で伝えるのは難しいですが、体験は、人に伝えやすい良さがあります。例えば、『世界でいちばん透きとおった物語』(杉井光/著・新潮文庫)のように、目に見える仕掛けがあると、より人に伝えたくなりますよね。


B:今年コンテストを開催した、日常の延長線上にあるような設定のモキュメンタリーホラージャンルは、まさにそうですよね。


C:「モキュメンタリーホラー小説コンテスト」では、画像が沢山入った作品も多くエントリーされ、目に見える仕掛けがあり、選考が楽しかったです!


D:この部門は、書籍化する場合に文庫に限らず、単行本になる可能性もありそうですね。あとは、『余命3000文字』(村崎 羯諦/著・小学館文庫)、『すべての恋が終わるとしても―140字の恋の話―』(冬野 夜空/著・スターツ出版 単行本)のように、タイパの良い超短編も人気です。超短編はテーマ切り、どんでん返し要素がポイントになりそうですね。


A:そうですね!この部門では、どんでん返しの仕掛けづくりや、目に見える画像やQRを使った仕掛けなど…体験として楽しめるエンタメ性の高い作品をお待ちしています!

『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光/著(新潮文庫)

『余命3000文字』村崎羯諦/著(小学館文庫)

『すべての恋が終わるとしても―140字の恋の話―』冬野 夜空/著(スターツ出版 単行本)

司会:今回X上でも質問を募集しましたので、お答えいただけると嬉しいです。


Q:「①青春恋愛」部門において、どちらかと言えば「恋愛」よりも「ヒューマンドラマ」寄りになってしまっても大丈夫ですか?


A:そうですね。同性同士の青春の箇所でもお話しましたが、「主人公が変わるきっかけが必ずしも恋愛でなくても良い。」という認識でいます。ただ、青春恋愛部門に関しては、その変わるきっかけを「恋愛」としているので、恋愛要素よりもヒューマンドラマ要素が強いとなると、その他の部分(舞台設定や仕掛け)を補強するべきなのかなと思います。ただ、「寄り」になってしまう程度であれば問題はないです。


Q:「①青春恋愛」に関しては全年齢向けBL作品も該当するのかが気になります。


B:BLとなると恋愛要素が強くなるのだと思うのですが、その方向性の作品は「BLuck文庫」向きなのかなと思います。ブロマンス的な内容であれば、スタ文大賞でも大丈夫だとは思いますが、その場合「➁アンチ青春」「③同性同士の青春」になるのかなと思います。


Q:未来屋書店賞の「書籍化未経験」について質問です。その「書籍化」は単著で本を出版したことがある方ということですか? 一度でも本に名前が載ったことがある方や、アンソロデビューした方も含まれるのでしょうか?


C:これに関して、応募開始時に定義をご提示しておらずでしたのでわかりにくかったかと思います。すみません。現在、補足としてコンテストトップページに記載していますが改めて。今回の書籍化未経験というのは、単著での刊行をしていないことを指しています。そのため、アンソロでの掲載経験ありの場合は書籍化未経験と定義します。また、単著に関してですが、電子のみの発刊も経験ありとします。


司会:ありがとうございました!

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