コンテストは惨敗だったらしい(そーちゃん談)。しかしそーちゃんは晴れ晴れとしていた。綺麗なものを撮ることが出来た満足感があるのだろう。
「話題になったんだよね。このモデルは誰? って」
「……言ったの」
「言ってないよ! 極秘情報ですって隠した」
「よかった」
コンテストの結果を知るために今日は一緒に帰る。「ちょっと寄っていい?」とそーちゃんは橋の上で立ち止まり、夕陽を1枚パシャリと撮る。
「……うーん」
「納得しないんだ。綺麗に撮れてると思うけど」
覗き込んで見つめるも、僕には綺麗に映る。しかしそーちゃんは納得しないらしい。
「あ。テルくん。手摺に凭れてくれる?」
「え。やだよ。あの時だけって言ったじゃん」
「もう1枚だけ!」
「……わかったよ」
言われるがままに背中を手摺に凭れさせる。カメラを見れば「夕陽を見つめて」と言われ……目を逸らした時にパシャ、と撮られた。
「うん、かっこいい。……でも」
「違う、と」
僕も一緒に覗き込むも、そこには夕陽と僕が写っている……だけだ。コンテストの時とは違う……気がする。
「やっぱあれじゃない? ちゃんとメイクアップしてないからじゃない?」
「いや……あれは再現しただけで……テルくんの良さを、ボクが引き出せてないだけで……うーん」
カメラと睨めっこしているそーちゃん。ぶつぶつ言いながらもう一度カメラを構えて僕を捉える。カシャ、とシャッターが切られる音。
カメラを構えるそーちゃんの顔は、真剣で。真剣故に、ファインダーにのめり込むのではないかってくらいフィルターを覗き込んでいて。
「……ふはっ、」
「っ!」
つい笑ってしまった瞬間に、パシャリとシャッターを切られる。また勝手に撮られた。僕の気の抜けている写真。
「……カメラ目線越しに、柔らかくテルくんが笑ってる写真。……綺麗に撮れた」
「ほんとだ。そーちゃん、一瞬を逃さずに捉えていてすごいね……」
風に靡いた前髪が乱れて額も少し見える。本当にこれ僕? という程、大人びて見える。
「テルくん。今度の文化祭で、また写真部の展示があるんだけど」
「断ります」
「まだ何も言ってないよ!」
「言ってないけどわかるよ! モデルは嫌だよ! 僕普通に文化祭ぶらぶらしたいし」
「事前に撮る物だから当日は何もすることないよ!」
「あ、そっか」
「またプロデュースして撮ってもいい?」
ヤンキーにしては可愛い顔で強請られる。上目遣いのそーちゃんに弱い僕は「ゔ」と言葉を詰まらせながら……少し考え「いいよ」と言う。
「ほんと⁉︎ 嬉しい!」
「ただし! 僕はいるだけだからな。メイク道具とか、衣装とかは全部そーちゃん持ち込みで」
「勿論だよ! あ、じゃあさ! 明日、街で服買いに行かない⁉︎ テルくんの背丈とか改めて知りたいし!」
明日は土曜日。帰宅部の僕は何の予定もない。モデルになると言った以上、最低限の付き合いは必要だ。
「わかった……」
「ありがと! テルくん! また明日ね!」
ヤンキーらしからぬ小指が差し出される。苦笑し、小指を絡めて「ゆびきりげんまん」と歌う。
今は派手な髪色やピアスをつけているけれど、過去はどんな姿だったのだろう。
「話題になったんだよね。このモデルは誰? って」
「……言ったの」
「言ってないよ! 極秘情報ですって隠した」
「よかった」
コンテストの結果を知るために今日は一緒に帰る。「ちょっと寄っていい?」とそーちゃんは橋の上で立ち止まり、夕陽を1枚パシャリと撮る。
「……うーん」
「納得しないんだ。綺麗に撮れてると思うけど」
覗き込んで見つめるも、僕には綺麗に映る。しかしそーちゃんは納得しないらしい。
「あ。テルくん。手摺に凭れてくれる?」
「え。やだよ。あの時だけって言ったじゃん」
「もう1枚だけ!」
「……わかったよ」
言われるがままに背中を手摺に凭れさせる。カメラを見れば「夕陽を見つめて」と言われ……目を逸らした時にパシャ、と撮られた。
「うん、かっこいい。……でも」
「違う、と」
僕も一緒に覗き込むも、そこには夕陽と僕が写っている……だけだ。コンテストの時とは違う……気がする。
「やっぱあれじゃない? ちゃんとメイクアップしてないからじゃない?」
「いや……あれは再現しただけで……テルくんの良さを、ボクが引き出せてないだけで……うーん」
カメラと睨めっこしているそーちゃん。ぶつぶつ言いながらもう一度カメラを構えて僕を捉える。カシャ、とシャッターが切られる音。
カメラを構えるそーちゃんの顔は、真剣で。真剣故に、ファインダーにのめり込むのではないかってくらいフィルターを覗き込んでいて。
「……ふはっ、」
「っ!」
つい笑ってしまった瞬間に、パシャリとシャッターを切られる。また勝手に撮られた。僕の気の抜けている写真。
「……カメラ目線越しに、柔らかくテルくんが笑ってる写真。……綺麗に撮れた」
「ほんとだ。そーちゃん、一瞬を逃さずに捉えていてすごいね……」
風に靡いた前髪が乱れて額も少し見える。本当にこれ僕? という程、大人びて見える。
「テルくん。今度の文化祭で、また写真部の展示があるんだけど」
「断ります」
「まだ何も言ってないよ!」
「言ってないけどわかるよ! モデルは嫌だよ! 僕普通に文化祭ぶらぶらしたいし」
「事前に撮る物だから当日は何もすることないよ!」
「あ、そっか」
「またプロデュースして撮ってもいい?」
ヤンキーにしては可愛い顔で強請られる。上目遣いのそーちゃんに弱い僕は「ゔ」と言葉を詰まらせながら……少し考え「いいよ」と言う。
「ほんと⁉︎ 嬉しい!」
「ただし! 僕はいるだけだからな。メイク道具とか、衣装とかは全部そーちゃん持ち込みで」
「勿論だよ! あ、じゃあさ! 明日、街で服買いに行かない⁉︎ テルくんの背丈とか改めて知りたいし!」
明日は土曜日。帰宅部の僕は何の予定もない。モデルになると言った以上、最低限の付き合いは必要だ。
「わかった……」
「ありがと! テルくん! また明日ね!」
ヤンキーらしからぬ小指が差し出される。苦笑し、小指を絡めて「ゆびきりげんまん」と歌う。
今は派手な髪色やピアスをつけているけれど、過去はどんな姿だったのだろう。



