2人で少し歩いて隣の街へ。前に衣装を選びに待ち合わせした場所が懐かしく感じる。アパレル店を通り過ぎ、人混みを掻き分け目に入るのは大型雑貨店。
「……何しに来たんだよ?」
そーちゃんはまだ僕の意図を飲み込めていないようで看板を見上げていた。僕は「いいから!」とそーちゃんの背中を押し店内に入っていく。
フロアマップを初めに見、エスカレーターを使って3階に上がる。辺りを見渡し、目当てのものが置いてありそうな場所へ向かい……綺麗に並べられてある箇所を見つける。
「……あった!」
「何これ。……防犯ブザー?」
そう。僕が常備しておきたいなと思ったもの。変質者にも遭遇してしまったし、白百合さんの防犯ブザーに助けられたから。
「これ、鳴らすと保護者のスマホに通知と現在位置が送られてくるんだって」
「ふーん。……なんで2個持ってるの?」
「色違いでお揃いにしない?」
多分、最初で最後のわがまま。
僕が右手に持っているのは青色。左手に持っているのは黄色。
「2人で夜空の色みたいだね〜……なんちゃって」
「……」
何か言ってくれないと場が持たない。いつもニコニコ笑ってくれるそーちゃんは、ずっと顰めっ面だ。何かに怒っているようで。
そーちゃんは僕の手から2個の防犯ブザーを奪うとレジに向かい始める。
「あっ、割り勘するし。なんなら僕2個買うし」
「オレが払う」
淡々と言って。会計を済ませて。
休憩スペースのソファーに2人座ってスマホに登録してみる。
そーちゃんは青色。防犯ブザーが鳴ったら、僕の元へ通知が来て現在位置が表示される。
僕のは黄色。何か遭った時に鳴らせばそーちゃんのスマホに通知がいく。……まあ、鳴らすことがないように過ごすべきなのだろうけど。
でも、気休めにはなる。
いつでも鳴らせるように鞄につけて。
「……お揃いだね」
そーちゃんもつけてくれた。口をモゴモゴさせて「ん」と言うだけで特に反応は無かった。
「買ってくれてありがとう」
「ん」
「……か、カフェとか寄らない?」
「もう暗くなるから、帰るぞ」
やっぱり、もうそんなに僕のこと好きじゃないのかも。防犯ブザーも今だけお揃いにしてくれている。買わせてしまったのが申し訳ない。
帰り道。「もうここまででいいよ」と言うのにそーちゃんは「もう少し」と言うばかりで。結局家の前まで送り届けられる形になってしまった。
薄暗くなった外で、玄関から振り返る。
「……じゃあ。あの……そーちゃんも、気を付けて」
「うん」
最後まで笑ってくれなかった。手をブンブン振られることもなく、淡々と早足で去っていく。
(もっと……魅力的な被写体を目指さないと)
そーちゃん。
また僕を見て。夢中になって。
そのために僕は両親とも話をつけてから白百合さんに連絡し、正式にホワイトリリー芸能事務所に所属することになった。
「……何しに来たんだよ?」
そーちゃんはまだ僕の意図を飲み込めていないようで看板を見上げていた。僕は「いいから!」とそーちゃんの背中を押し店内に入っていく。
フロアマップを初めに見、エスカレーターを使って3階に上がる。辺りを見渡し、目当てのものが置いてありそうな場所へ向かい……綺麗に並べられてある箇所を見つける。
「……あった!」
「何これ。……防犯ブザー?」
そう。僕が常備しておきたいなと思ったもの。変質者にも遭遇してしまったし、白百合さんの防犯ブザーに助けられたから。
「これ、鳴らすと保護者のスマホに通知と現在位置が送られてくるんだって」
「ふーん。……なんで2個持ってるの?」
「色違いでお揃いにしない?」
多分、最初で最後のわがまま。
僕が右手に持っているのは青色。左手に持っているのは黄色。
「2人で夜空の色みたいだね〜……なんちゃって」
「……」
何か言ってくれないと場が持たない。いつもニコニコ笑ってくれるそーちゃんは、ずっと顰めっ面だ。何かに怒っているようで。
そーちゃんは僕の手から2個の防犯ブザーを奪うとレジに向かい始める。
「あっ、割り勘するし。なんなら僕2個買うし」
「オレが払う」
淡々と言って。会計を済ませて。
休憩スペースのソファーに2人座ってスマホに登録してみる。
そーちゃんは青色。防犯ブザーが鳴ったら、僕の元へ通知が来て現在位置が表示される。
僕のは黄色。何か遭った時に鳴らせばそーちゃんのスマホに通知がいく。……まあ、鳴らすことがないように過ごすべきなのだろうけど。
でも、気休めにはなる。
いつでも鳴らせるように鞄につけて。
「……お揃いだね」
そーちゃんもつけてくれた。口をモゴモゴさせて「ん」と言うだけで特に反応は無かった。
「買ってくれてありがとう」
「ん」
「……か、カフェとか寄らない?」
「もう暗くなるから、帰るぞ」
やっぱり、もうそんなに僕のこと好きじゃないのかも。防犯ブザーも今だけお揃いにしてくれている。買わせてしまったのが申し訳ない。
帰り道。「もうここまででいいよ」と言うのにそーちゃんは「もう少し」と言うばかりで。結局家の前まで送り届けられる形になってしまった。
薄暗くなった外で、玄関から振り返る。
「……じゃあ。あの……そーちゃんも、気を付けて」
「うん」
最後まで笑ってくれなかった。手をブンブン振られることもなく、淡々と早足で去っていく。
(もっと……魅力的な被写体を目指さないと)
そーちゃん。
また僕を見て。夢中になって。
そのために僕は両親とも話をつけてから白百合さんに連絡し、正式にホワイトリリー芸能事務所に所属することになった。



