僕と君と廻る庭

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 暑いからこそ。
 涼しさが気持ちいい。
 寒いからこそ。
 温かさが()みる。
 温かさは、常に感じる事が出来ない。
 ()さるような涼しさあっても。
 燃えるような温かさはない。
 温かさに()れると。
 温かさには気づけない。
 寒さを知った時。
 温かさを知る。
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「あぁ!寒い!!」
「さっきから寒い寒いうるさいな君は、君から雪遊びしようって言ったんじゃないか」
 彼はそういうと丸めた雪玉を僕に投げてきた。
 勿論(もちろん)、思いっきりではない。
 まるでパスボールのように優しくだ。

 ポスン。

「わかったから雪玉投げるのやめてよー」
「あはは、僕がボール遊びが好きなのは知ってるでしょ?」
 彼は笑いながらもう一つ、僕に雪玉を投げる」
「もー、雪合戦じゃなくて他の遊びにしよーよー」
 僕がそういうと、彼の雪玉攻撃は止まった。
「でも僕が『じゃあ何して遊ぶ』って聞いても、君はずーっと悩んで何も案をださなかったじゃないか。
 さっきも言ったけど、外で遊ぼうって言ったのは君なんだからね」
 ザクザクと雪を踏みながら彼は僕に近寄る。
「悪かったよー。
 確かに何をしたいか、まだ思い浮かばないけどさ………」
「じゃあ雪だるまでも作る?」
「えぇー…子供っぽいなぁ」
「はぁ…君って奴は………」
 彼は(あき)れたように肩を落とす。
「あのね、僕から言わせてもらうと、何も思い浮かばないのに外に飛び出す、君の方がよっぽど子供っぽいからね」
「いいじゃん、だって久々に雪が降ったんだよ?
 遊ばにゃ損々(そんそん)って奴だよ」
「そうは言ってもさぁ………」
 ジト目で見られる僕は少し真面目に考える。
 そして一つの案が浮かんだ。
「かまくらでも作ろうか!」
「かまくらかぁ、確かにいいかもしれないね。
 どれくらいの大きさにする?」
「そりゃあ勿論、でっかく作るしかないでしょ」
「…日が暮れても知らないよ」
 少し呆れた様子で彼はそう言ったが、どこか楽しみといった様子にも見えた。
「よし、じゃあまずは雪を集めるところからだね」
 そう言って僕達は雪を夢中で集めて一か所に集めた。

「…ほんとに沢山集めたね………」
「…まぁ…ね………」
 僕はヘロヘロになりながら彼に親指を立てる。
 彼は休み休みやっていたが、僕は二時間程休まずに、庭中あちこち駆け回って沢山の雪をかき集めてきた。
「まぁ、穴を空けるのは一人の方がやりやすいかもしれないから君は少し休んでおきな…」
 彼はそういうと小さなスコップを手に取ると、山積みに固めた雪をザクザクと掘り始めた。
 二人が入るには大きすぎる程の物になるであろう雪を見て、僕は疲れた足取りで一度小屋の中に戻る。
「えぇと…これと…あとこれも持っていくか………」
 僕はせっかく大きなかまくらの中で過ごすならと、小さな薪をいくつか手に取り、外に出る。
「ねぇ、折角なら中で焚火しようよ」
 僕がそう言って彼の元へ向かうと、彼はまだ掘り始めたばかりの入り口と僕の腕に抱えられた薪を交互(こうご)に見て溜め息をつく。
「空気穴まで綺麗(きれい)に掘らないと死んじゃうよ?」
「あっ………」

「「できたー!!」」

 なんとかかまくらを作り終えた時には辺りは完全に星空になり、辺りは月明りで照らされる頃になっていた。
 僕達はそそくさとかまくらの中へと入り、小さな焚火を起こした。
「あったかーい………」
 パチパチと小さな火の粉をあげる火に、すっかりと冷えてしもやけした手のひらを近づける。
「うん…まぁ頑張った甲斐(かい)があったね」
 彼も多少疲れている様子だったが、とても満足そうな笑みを浮かべた。
「ふふっ、()っぺた真っ赤だよ」
 僕が笑ってそういうと彼も「君こそ」と言って笑った。
「なんだか、普段寒い日に当たる暖炉の温かさと全然違うね」
 彼はしみじみとした様子でそう呟いた。
「そうだね…同じ火の筈なのに、なんだか凄く温かくて、優しい感じがする。
 外だからかなぁ」
「それもあるけれど、二人で頑張って作ったかまくらの中だから、きっとより一層温かくかんじるんじゃないかな」
「そうかもしれないね」
 それから僕達はかまくらの中で色々な話をしながら、火が消えるまで語り明かした。