波打ち際のチョコレート

鮮明に覚えてる。
私はヨーロッパを一人旅していて、豪華な温泉プールにいた。
お城のような豪華なプールでくつろいでいて。周りの人たちもみんなリラックスして、楽しそうに笑い合っていて。
そんな時、彼からメッセージが届いた。
レポートって書いたファイルだった。
彼は私の「私と付き合うと決める前に考慮したすべての要素をリストにして」と言う問いを真剣に考えていてくれた。
それを書いて送ってきてくれた。
読むのが怖かった。何が書いてあるのか予想できなくて。
でも、すぐその場で開いて読み始めた。


彼のレポート

「私と付き合う前、そして『一緒に住みたい』と言う前に、君が考慮したすべての要素をリストアップして説明してほしい」

この質問が来ることは、薄々感づいていたけど、それでも実際に目にした時、その直球さに胸を衝かれた。恋愛関係の中でこんなふうに真っ直ぐ問われるなんて、思ってもみなかった。
その正直さと誠実さに感謝してる。
この一ヶ月、何度も私たちのストーリを振り返った。
始まりの一点を挙げるなら、あの夜だ。君がパーティーから戻ってきて、ハグをして、フロントで一緒に話したあの夜。
あの時、自分は「誰かに愛され、必要とされる価値があるんだ」と感じたいと思っていた。
そんな自分に君は、多くのことを共有する機会と、心を開くチャンスを与えてくれた。そして君は聞くのが上手い。説明するのが難しくて時間がかかっても、言葉がうまく見つからなくても、忍耐強くいてくれる。
君と付き合いたいと思った理由は、そう多くはない。
君を愛することを選んだから、それが理由。
私たちは合っているから。「彼氏と彼女」という形を与えるために付き合うような、そんな曖昧な関係を終わらせたかったから。
君が可愛いから。君は自立していて、優しいから。君が自分に自信を与えてくれるから。君の成長を見ていたから。君の前では正直で誠実でいられるから。単純でいられるから。安心できるから。
だから、愛が何かを知らなくても、「愛してる」と言ったいる自分がいた。
付き合う前、私たちが遠距離になる状況に直面することはわかってた。その覚悟はできていると思っていたし、できていたし、この関係で自分はよくやったと思う。君もよくやった。
でも、関係の困難さは思っていたより大きかった。家族に逆らえるほど自分は強くないから。キャリアのために仕事で何かを成し遂げたいけど、どんな人生を送りたいか確信が持てないから。
だから、いつも考えが変わってしまう。
時々自分に言い聞かせる。「どの道を選んでも後悔はある。ただ一つ選んでスタートしろ」と。
私たちの遠距離恋愛、特に最近はお互いにあまり話さなかった。
多くのことが起こった。落ち込むことがあった。
時々、君は何も悪くないのに、遠くにいる君を責めてしまう、ごめん。
多分君も同じ気持ちかもしれない。
もし一緒にいたら、ハグ一つで何でも解決できるのに。
君がいるのに、いない。そんな感覚が嫌いだ。
「一緒に住みたい」と言ったのは本当。
君と一緒だと安心できるから。他に理由があるかは、わからない。一緒に住むのがどんな感じか想像できるし、その想像が好き。こんなことは今まで一度もなかった。
今、自分に起こっていることを話すね。今の仕事を辞めて、おじさんのところで働くことにした。財務関係の仕事。
今後数年彼の国にいることになる。仕事がこれからどうなるかはわからない。
君に卒業後すぐにこの国に来てほしくない。君はその街で働きたいとか、他のことをしたいとか思うだろうから。
最初の2年はすごく忙しくなると思う。
だから、1年か2年、お互いに成長し、人生を経験する時間、特に僕が一人前の男になる時間をくれないかな。
それから、どうするか決めよう。


レポートへの答え

Starting point(始まり)は一緒で、やっぱり私が始めてしまった。
それ以前にも彼から近寄ってきてはいたけど、繋がりを、魂が合わさったってのを感じたのはあの日あの瞬間だった。
あの夜、私はクリスマスの日に誰にも買われなかったクマのぬいぐるみみたいに感じていた。
今でもあの情景を覚えているし、どういうわけか私の魂は彼を求めていた。
ハロウィンパーティーで人混みの中、友達も横にいたのに、私は彼に会いたかった。
その前日、彼は私に、彼の宿舎でのパーティーに来られないかと聞いていた。私は「友達と約束があるから行けない」と言った。彼は少し悲しそうだった。
だから彼のことを思い出し、彼が何をしているか気になって、止められなかった。
それで彼にメッセージを送り、会いに行き、彼は私を抱きしめた。
そのハグは、まるで、ついに私を買ってくれた人、私を抱きしめてくれる人を見つけたような感じだった。
彼と一緒だとすごく安心した。
もっと長く滞在すべきじゃなかったのかもしれない。でも、あの安心感と安堵は初めてのもので、離れられなかった。
それが始まりだった。あってはいけない始まりだったけど、そこにあった。

彼は私を愛することを選んだと言った。
これで十分。好きな理由を百個並べるより、「選んでくれた」ってことの方が、これからずっと一緒にやってけるって、将来を思い描ける。
ちゃんと彼の意思だったんだって見ることができた。信じられた。
彼は、誰かに愛され、必要とされる価値があると感じたと言った。ずっとそれは感じてて、だからまっすぐに「大事だよ」ってずっと伝えてきた。伝わってるといいなと願う。
私の恋と彼の恋の始まりの違い。
私は誰も要らなかった。彼は誰かを必要としていた。
でも、今は始まりの違いなんて関係なくて、今はお互いがお互いを必要としている。
それで十分。
彼は私の前で正直で誠実でいられると言った。
たぶん、だから、彼は「分からない」と言い続けていた。彼には慣れていないことなんだ。
ここまでは自分を納得させて、でも最後の「一緒にいたら、ハグで解決できるのに」の一言は信じられなかった。
一度、彼が世界の反対側からハグの感覚をくれたことがある。
私には、二人ともこの街にいた時、彼が誰かを必要としているときに、横にいさせてもらえたけど何もできなかった、何も言えなかったってのが大きく残ってて。
一番彼が悩んでた間は距離を開けられてて。横にすら入れなくて。
だから、自分が彼に何かを与えられるんだって信じきれてなかった。
これが、私が私の国で二人の正体を描いて受け入れた理由。
もし二人でこの街で過ごしたら、一緒に1年過ごして、楽しんで、その後多分一番辛くなる。横に入れなくなるかもしれない。
疲れ果ててて話したくないって背を向けられるかもしれない。
家族がいなくて寂しくて、横にいるだけで何もできなくてってのを繰り返すのかもしれない。
1年一緒に過ごして、その後が思い描けなかった。
あの街にいる彼を支える自分の姿が思い描けなかった。
あの街にいるのがストレスになって、
自分は何もできなくてってのが思い浮かんで怖かった。
私の国だと彼の国に近いし、私も勝手がわかってるし、
彼の力になりやすいと思えたのかもしれない。それか、彼の国なら彼の家族がいるから大丈夫だって。
自分が彼にとって支えになれるって、なれているっていう実感があまりなかったのが大きな理由の一つなのだと思う。
それでも彼の意思があるならそれでよかった。
今、分かっているのは、彼の意思は「私を愛することを選んだ」ってこと。
それ以外は、それをどう実行するかは、まだ分からない。
それでいい。それが分かっただけでスッキリした。
私の両親を見てきて、喧嘩する二人になりたくないし、喧嘩するような生活はしたくないし、だから彼の意思で、
二人が納得できる形でっていうのにこだわるのかもしれない。
お互いが、お互いがいることが、
ストレスになるんじゃなくって、支え合えるんだって。
そういうカップルになりたいから。
そうじゃない生活を恐れているから。
ずっと忍耐強くいてくれてありがとう。
ずっと横にいられますように。
ずっと横で馬鹿みたいに笑っていられますように。


最後の文

そこまで読んで、でもまだ続きがあった。
彼はまた、一人で勝手に仕事を辞めて、叔父のために働くと決めていた。信じられない。
あれだけ相談してくれないのが悲しいと、行動する前に伝えてくれないのが悲しいと伝えたのに、また勝手に一人で決めた。
そして、もう仕事を辞める段取りもついている。
私はいつも最後に知らされる。
私は彼の家族にあった日から、すごく彼の家族を意識している。
将来はその一員になるんだって。彼の国言葉を勉強してるし、彼の国の家族をテーマとしたドラマも映画もたくさん見てる。
家族のシーンがあるたびに、こう振る舞ったらいいんだって自分をその場に重ね合わせて考えていた。
家族の人たちにも彼の彼女ってだけじゃなくて、家族の1パートとして受け入れてもらえるようにって。
でも、肝心の彼が私を家族の1パートとして見ていない。
彼の家族が「家族として歓迎する」とってくれたけど、彼は私を自分の家族として考えられていない。
だから私に伝えるのは全部後回し。
家族で何が起こっているかあまり共有してくれない。
私は彼の横で一緒で歩きたかった。支えて、支えられて、一緒に決断をして、一歩一歩歩いていく。
一緒に決断をして、一緒に家族に伝えて、二人で一つになって歩いていくんだって思うのに。
もう家族にも、会社にも伝えて、最後に回ってきた。
その後回し感が許せなかった。
苛立ったまま、すぐに彼に電話をかけた。
彼はベッドの上で、疲れてめんどくさいと言った顔で電話を受けた。
私はどう言うことかと聞いた。
彼はただ、書いた通りだという。
何の仕事かと聞くと、ファイナンス系という。詳しくはやってみないとわからないって。
どうしてその仕事を受けたのかって聞いたら、いい機会だからと。叔父直々に教えてくれるって。
叔父の家に行って、夜遅くまで話を聞いて、決めたと。
これからどうするのって聞いたら、わからないって。
私なしではすべてがスムーズすぎる。私がいると、わからないになる。
なぜこれまで決めるまでに伝えてくれなかったのかと聞いたら、彼は旅行中だとと抜かした。
旅行中だろうがなんだろうが、こんな大事なこと伝えてくれないといけないし、書いて終わらせようとしている弱さも、面と向かって伝えられない彼の弱さもむかついた。
面と向かって話してくれた時、君が君の国に残るって言った時、とても辛くて悲しかったけど、受け入れたのに。
書いて渡して、はい終わりってしようとしてるのが許せなかった。
この一ヶ月は旅行の一ヶ月だったから、まだビザも残っているし、本当に私を必要としていたのなら、呼んでくれたら1週間か2週間くらい、多分飛んでいったと思う。
彼もそれをわかっているから、伝えてくれなかったのだと思う。
怒りで話せない私を前に、彼はただ疲れているからと電話を切った。


なぜ今なのか

怒っている。苛立っている。
私たちを考えなかった彼に怒っている。
焦点を私たちから、私に移しても、より怒りと悲しさが湧いてくる。
彼が以前私が彼の国に行った時に決断できなかったことにすごく腹が立っている。なぜ今なのか。
あの時、何度も尋ねたのに。これからどうしたいって。
私の国の就活には期間があって、その期間が迫っていたから。その後やりたい仕事もあったけど、断ったのに。
これまでの就活の努力も、この街に残る選択肢も、全部機会を失った気がした。7月末には勉学が全て終わって、寮も出なくちゃいけない。
今は5月。まだギリギリ間に合うだろうか。これまでに無くしたかもしれない選択肢を考えると苛立った。
「No」と言うことを学ぶべきはあなたの方だ。
でもあまり責められない。彼が優しいからじゃなく、私が優しいからだ。
この怒りと苛立ちは、私がまだ彼を愛していることの証だ。
もしもう愛していなかったら、怒りもしない。
彼が変わってくれるかどうか、分からない。
私は私の人生を生きる。
彼を待つのではなく、彼が追いついてくるのを信じて、
一歩ずつ、私の道を歩いていく。
これが、私の決断だ。


待つということ

悪いことに、私は諦めるのがとても下手だ。
彼は言った。「それはいいことだ。僕も諦めない」と。
今は、これを信じて、自分のことを大切にしよう。
頑張る。
この一ヶ月の旅が終わって、返ってきた。体も大学の寮に帰ってきたし、心も頭も君に「ただいま」っていう準備をしていた。
帰ってきたのに、なぜあなたはいないの。
あなたは私の帰る場所、HOMEだ。
お互いに大切になればなるほど、
あなたからの距離をより感じる。


決断は、影響されるもの

この数ヶ月の経験から学んだのは、
決断は、影響されるものだということ。
ただ、誰に影響されるのかは、自分の選択の範囲内にある。
もしその人が大切な人だったら、心に大きな影響を与えてくれる人だったら、喜んで影響されればいい。
大人になるにつれて、少しずつ頑固になっていく。
自分の我が出てきて、影響を受ける範囲が狭くなっていく。
だから、それだけ心に影響を与えてくれる人は、本当に貴重な存在で。
環境や人に揉まれて生きていける期間は、そんなに長くない。
そして、頭か心か。どちらに従うのか。
旅に出たのは、頭と心、どちらにも従った結果だった。
お互いに変化に対応できず心が疲れていたし、頭も考えたいと言っていた。
だけど、旅の途中で心が彼を探し始めているのを無視したのが、いけなかったのかな。
心を無視して、そのことを彼に伝えようとしなかったから、こうなってしまったのだろうか。
頭に従うのではなく、心に従おうと思う。
心に従わなかった経験は、後悔として残る。
頭に従わなかった経験は、学びとして残る。
だから、心に従って、少しずつ学びを増やしていけばいい。
心を成長させていけばいい。
自分の人生は一回きり。
他の人の想いに応えることがあなたの価値ならそれもあり。
でも、そこに価値を置かないのなら、私は自分の心に従いたい。
後悔はしたくないから。
他人の想いに従った結果が思い通りにならなかったときに、
大事な人の顔を思い出したくないから。


別れに向かって

次に電話した時、私が聞いた。
「今後2年間働いた後に、私に『君のいるところに来て』とは言えないよね」と。
彼は言った。「来てほしい」と。
今、彼は「来てほしい」と思ってくれている。
それでも、2年後、3年後、
「一緒に暮らす」だけじゃなくて、
「結婚」する気持ちの準備ができているかって?遠距離だけを経験して、その間も仕事が忙しいと後回しにされて、一緒に住んでたらそんなことはないのかなと迷いながら、「結婚」して一緒に住んで、未来は不確かなまま進んでいくの?
まだ分からない。一緒に住みたくても、二人で生活する図を思い浮かべられても、家族のプレッシャーがある中でどう結婚という道に進んでいくのか。
そこがまだ分からない。
それが、彼が「私の国にもこの街にも来れない」と言った本当の意味だ。
それをまっすぐ言う勇気もまだ持てていない未熟な彼も。
彼は言った、自分を整理する時間が必要だと。一年か二年かかかると。
私の頃一ヶ月の旅は、戻ってくるための旅だった。
私たちを継続するために必要な時間だった。
でも彼のいう一年は、2年は、不確かな要素が多すぎる。
仕事も、生活も、周りにいる人も、全てが不確か。
忙しくなったら、電話も、会うことも、メッセージもできる頻度が減ってしまう。
すごく怖かった。
泣くことさえできなかった。すべてが塞がれていた。
胸が重いと感じた。
心のことが、本当に身体に現れるなんて知らなかった。
すごく怖かった。
背中が冷たく感じた。
友達に戻った方がいいのかもしれないと考えたこともある。
でも、彼を失うことは、まったく選択肢になかった。
責めるような考えはすべて消えた。
ただ、何もできない、
人生の光を失う、と感じた。
これから何をしても、すべて意味がなくなるような気がした。
怖くて、寒くて、動けない。
言葉がない。
沈黙。
真っ暗。
重さ。
彼を失えない。
人生に彼が必要だ。
―世界が何と言おうと、私は彼のそばにいたい。
彼を信じる練習をしなければならない。
そう誓った。
その後2週間ぐらい、彼は連絡をしてくれなかった。テキストを送っても数時間後に返ってくるし、電話も忙しいとあまりしてくれない。
電話しても、何か他のことをする直前にかけてきたりして、すぐ終わるように調整されていた。
不安で、このまま自分が彼の世界から消えていく気がして、
時差がある分、夜に連絡が来るかなって考えて、夜もしっかり眠れない日々が続いた。
夜に連絡が来たとしても、私が寝ている時間に連絡してくるのはすぐに返信して欲しくないからで。
私が夜寝てないというのもプレッシャーになるなと感じて、一生懸命朝まで数時間待ってから返信するのだけれど。
ずっと疲れていて、心臓が痛み出していた。


初恋の終わり

多分、彼が以前の他の女の子たちにもっと優しかったと聞いたあの日から私は迷子になった。自分が何を信じ、何を感じてきたのか、そして自分が彼にとってどれほど取るに足らない存在だったかを痛感していた。
私の彼への愛と、彼の私への愛は、違うものに見えた。
私は彼と共有したいことがどんどん増えていく日々を送っていて。彼はシンプルで、多くを語らない。
私の中にはたくさんの感情と言葉がある。彼にはも感情はあるけれど、伝えてくれる部分は限られている。
私たちのつながりは、友達としても、カップルとしても、何でも全部を含んでいて、簡単には名前がつけられない。
彼には愛が必要だと感じたから、彼に伝えた。彼に見せた。
私にはそんな傾向があった——人が必要としているものを与えようとする。
最近はあまりそうじゃないけど、それでもしたいと思う。
彼のことが好きだから、彼をたくさん見た。たくさん気づいた。
多分、私は彼にとって太陽の光だった。だから彼は他の人にも愛を輝かせることができた。
でも、一緒にいない時に彼の私への愛を感じるのは難しい。
とても短いテキスト。読んでも返信はない。「寝る」とだけ言って、日中に一度返信が来る。
繋がりを持てるように、いつも私が何かを共有している。いつも私が会話を始める。
彼はいつも電話を切る側。彼はいつも私たちの会話を終わらせる側。
彼に言えない言葉は積もっていく。でも彼はそれをただ聞くことができない。
彼が私に耳を傾ける時間をくれる時だけ、私は彼の愛を見つけることができる。彼が望まない時には、そんなに忍耐強くはないから、心は私の中に溜まったまま。
彼は子供のようだ。深く考えずに、欲しいものを言う。
いつも私を喜ばせ、後からそれが将来おそらく起こらないことを気づかせる。
これらはいつも同じで、それだけで、私は彼にとって重要じゃない、彼に重要だと感じさせる以上の何物でもないと思ってしまった。
時々、神様に、愛されていると感じさせてほしいと頼むことがある。彼の愛を疑うわけじゃないけれど、私ももっと愛されていると感じたかった。
私の存在は彼にとって何か意味があったのだと。多分、彼の求める心を満たすことができたから。
以前はそれでよかった。神様に、彼のために私を使ってほしいと頼んだ。でも今は自分のことを考え出すと止まらなかった。私ももっと愛される価値がある。私も同じくらい愛で照らされる必要がある。
でもそんなふうに伝えると、彼はプレッシャーだというだろう。ただ彼に私が何を考えているか知ってほしいだけなのだけれど。
「一つ」になって道を歩みたいだけなのだけれど。
彼からの愛を感じられるのは、電話で彼の顔を見ている時だけ。それか、今と昔を比べた時だけ。
今は理想的じゃない。ただ、以前よりはましだと。
彼は理論的な人だと思っていたけど、そうじゃなかった。感情的に一時的な思いのもとで行動する人。
ある瞬間は、私たちがまだ続けられると信じることができた。
次の瞬間には、自分のために終わらせるべきかと考えている。
私もまだ傷を癒している途中だ。
彼は私を必要としている。私も彼を必要としているけど、二人ともその余裕がない。
彼は私より年上なのに、子供だ。愛される側として、他人のことを深く考えずに、欲しいものを言うだけで、周りの人たちの注目を一身に集めて育ってきた人だ。
私はいつも一番年上なんだ……
自分を律する。周りを先に考える。
いいよね、泣ける子は。
いいよね、風邪をひける子は。
何か良くないって分かってもらえる。
傷だらけだって隠すのに長けている子は、
誰にも気づかれずに抱えるしかない。
時々疲れる。最近は疲れてる……。恋愛関係には、そういう時がある。
自分を考えずに君/私たちを考えたら、シンプルだ、君を愛してる、君を待つ。
自分を考えると、不安にもなるし、迷いが生まれる。
自分を考えることが、愛の邪魔になるなんて。
彼が私を大切にしていると示す時が来ると信じたい。
もう可愛い女の子ではいられない。私は大人の女性になりつつある、現実が伴わない愛はできない。それでもまっすぐな心は持ち続けて。真っ直ぐ彼を愛し続けている。
これからもあなたを愛し続ける。あなたは永遠に私の心に留まり続ける人になるだろう。
ただ、あなたが「私と一緒にいる」と心を決める時が来るのかどうか、それだけがわからない。そして、ただ関係を続けるだけでは、私の心が消耗していく。
二人して「私たち」を考えようとして、歩幅が合わなくて、お互いにストレスを感じて。
あるはずのない「私たち」を探して。バカみたい。
友達の頃の方が、「I’m here for you(ここにいるよ)」が簡単だった。「us」を探すのは持ち続けるのがこんなにも難しいなんて。

以前彼に「結婚はいつぐらいにしたい?」って聞いたら、
「まずは稼いで、良い仕事についてから」と答えが返ってきた。
どうしてそんな条件にこだわるのだろう。
心が平和になれる相手が見つかったら、それで充分じゃないのかな。
“Mind peace(心の平穏)”が大事なんじゃないかと思う。
今、それを与えられるのはあなたしかいないのに。
だから好きなのに。なのに条件を満たそうと、距離は開くばかりなんて、辛すぎる。
You can’t afford me.
お金じゃ買えないよ。奪ってみてよ。


私は私を、生きる

彼は話してくれないけれど、その分私は一人自分の中で会話をしていた。
1、2年後。覚悟を決めて、私にプロポーズするか、できないなら別れるって伝えて。
いつかあなたは覚悟を決める。
私にプロポーズする。
私の仕事の状況は分からないから、ノーと言うかもしれない。
でもそれはフェアだと思う。そんな強い私でいられるかなとか。
私は私の人生を楽しもうって、考えて。
でもあなたが覚悟を決めるまで、私は私の人生を楽しもうって。
今を楽しむ。世界のどこにだって行く。
あなたが心配するかもしれない。でも、君が覚悟を決めるまではもう私たちを、あなたを私の前におかなくていい時間だと考える。
私はもう自分の仕事の機会を諦めない。
実現するか分からないことを待つのはただただ怖いのだけれど。

私をまた好きにさせて。あなたは私をまた恋に落とさせる必要がある。
あなたは私をまたあなたのことが好きにさせる必要がある。
挑戦、結婚、子どものことを考える時。どれだけ遠くまで私たちを想像する?
いい景色を見た時、「おじいちゃんおばあちゃんになったら、こういうところに来て、のんびり何もせずにただ寄り添ってたいな」って。
そんな風に君となら思えるの。

「どうやって私たちを築くか」をこの一ヶ月考えてきた。遠距離の中で、どうやって相手を思い続け、考慮し続けられるか。選択肢の中に入れ続けられるか。
でも、あなたはまだあなたと私として考え続けていたのかな。
それはあなたの決断だから。
私はそれが決断だと思う。君が言ったように、愛することを選ばないといけない。選び続けないといけない。

とにかく、君がどう考えているのか分かるまで、中心を私に戻そう。
例えば、私のあなたへの愛はロウソクのようなもの。
風が吹いても、放っておくべきだったかもしれないけど、手で守った。
まだそこにある。
でもロウソクが尽きるように、何も変わらなければ、ただ短くなって終わるだけ。
あなたは私を好きにさせ、新しいロウソクを与え続ける必要があるんだよ。


2週間後ーー別れ

やっと彼が電話をしてくれた。
別れよう、だった。1、2年後何も約束できないから。将来を約束できないから別れようって。
電話をしてくれて、彼の顔を見ながら聞いて、そうだよなっと納得した。
あなたは「私たち」ではなく「自分」を選んだ。
私はそんな彼の選択を受け入れた。
でも、友達でいようって。連絡は取り合おうって言って。別れた。——それは、彼を完全に手放せない私の弱さでもあった。
でも、このまま連絡を取り合えるのならそれでいい。彼が私の人生にまだいてくれるのなら、どんな形でもいいと思った。
私もこの不安定で不確かの中、待つよって言って、その後待って言ったら私は待てるだろうけれど、でもその間彼が変わってしまうんじゃないかっていうのが怖かったし、待ってる間に彼が誰かいい人に会って捨てられるんじゃないかって不安もあったから、
だからこれでいいんだと言い聞かせた。
もっといい女になってやるって思って。
新しい生活に、未来に、前を向いた。