旅行中は連絡を断つ。
1ヶ月間、一人で自分の気持ちに整理をつける。
彼が国に残ると言った時、静かに受け止めている自分がいた。
彼も、何も聞きもせず、ただ静かに受け入れた私の様子に、戸惑ったように見えた。
その時は何も言えなくて、電話を切ってから静かに泣いた。
どこかでわかっていたのかもしれない。いつかこういう瞬間が来ることを。
彼に向かってかける言葉が見つからなくて、沈黙が唯一の盾だった。
一人旅
たまたま、その後の一ヶ月、一人旅をする予定があった。
彼の国に行こうかどうか迷っていたけど、どっちにしろ秋にはまた私が国に帰って、彼も国に来るからすぐ会えると思って、「最後の一人旅かな」って思って企画した旅だった。
その旅を、こんな風に使うことになるとは思ってなかったけど、利用することにした。
いつも彼の主張を私が受け入れるだけなのが嫌だった。
受け入れはする。尊重はする。でも、それでも私の態度は見せたかった。
それに、話すと、感情が溢れて彼を責めてしまいそうだったから。
自分の気持ちを整理する時間が必要だった。
彼の選択を受け入れて、将来に向けて前向きに変われるように。
これからの遠距離を受け止めるために、違う国にいて、隣にいられない生活に向けての覚悟とエネルギーを蓄えるために。
最小限の連絡
1日一回は連絡する。写真を送る。それだけ。
それ以上は連絡しないと伝えた。
初めは二人ともこの街にいて、君が国に帰るって言った時。
その時私たちは何の関係でもなかったから、一人で決めちゃって、相談してくれなくて、悲しかったけど、何も言えなかった。
今は、一緒になれたのに。二、三日に一回電話している関係なのに。
私は就活の状況とか、「この仕事はどうかな」って君の意見を聞きながら進めてたのに。
君は勝手に決めてしまった。
相談できない自分であったことが、相談できない私たちであったことが悲しく心が重かった。
そんなまっすぐな私の言葉に、彼は言った。
「自分の中の悪い部分を全部開け放って、『見ろ』って言われてるように感じる」と。
正直で、まっすぐであることは、時に凶器になる。
それでも、彼は私に言わせてくれるし、聞いてくれる。
心を開くことを許してくれる。
これは貴重なことだ。こんな関係を築ける人は、他にそうそういない。
電話で彼の顔を見て、思った。
ああ、これは失えないな、と。
ああ、この感じが、友達と恋人の違いなんだ、と。
この感情、この思いは、何度失恋しても変わらずそこにあり続けるのだろう。
何度も何度も同じ人に恋をしては、失恋してを繰り返す。
恋愛関係
彼は「どう関係を作っていくのか、わからない」って。「愛がわからない」と呟いた。
ふざけるな、と思う。
君は愛を知っている。あなたが私に愛とは何かを教えてくれた。見せてくれた。
恋愛関係について、私は彼より先を行っていると彼は言った。
彼が私に愛とは何かを教え、私は成長しながら、彼の教えてくれた愛より先に行った。
そして今、彼は「スローダウンしろ」と言う。
今度は私が待つ番なのだ。
彼の方がずっと先に生きていると思っていたけど、三年の差は大きいと思っていたけど、私の方が先を見ている部分もあったのだ。
いつか、同じように感じてくれたらと思う。
今はまだ、その時が来ていないのだと信じて進む。
その時が来ると信じるのとは違う。
来ないかもしれないと、どこかで準備しながら、なんとか続けていく。
リスト
彼に頼んだ。
「あなたが私と付き合うと決める前に、考慮したすべての要素をリストにして」と。
この一ヶ月、私だけが考えるんじゃなくて、彼にも考えて欲しかった。
私たちの関係を見つめ直して欲しかった。
私と一緒に住みたいと言う前に何を考えていて、どうして今回の決断に至ったのか。
知らないと、どこまで信じられるのかわからないから。
彼は「考えとく」と言って、頷いてくれた。
決断
「どうやって決断してる?」
この質問は、今でも私の心に残っている。
そんな深い話をしてくれたあなただから、尊敬できるあなただから、好きになった。
私たちは、何に基づいて決断しているのだろう。
頭と、心と。「理性」と「情」。
そして、誰の言葉に寄りかかって、影響されて、押し出されて、決断しているのか。
この質問に、あの時の私はこう答えた。
やりたいことをやって、その結果がどうなっても納得できるように、自分のことに関しては心に従う、と。
自分のことだけなら、自分のした行動の結果がどうなっても対処できるから。
でも、その行動の結果が他の人の心に影響を与えるとき、
その時は心に蓋をして、頭の声に従わなければならないとも。
でもこの答えは、今まで一人で、人との関わりを最低限にしてきた自分だからこその答えなのだと、私たちの関係の中で、痛く気づかされた。
付き合っていると、何でも相手に影響してしまう。
仕事、家族、買い物、何をするにも相手が頭に浮かんでくる。
だから、自分とは何なのか、わからなくなる時期がある。
特に、相手が仕事を私に相談せずに決めてしまって、
それが遠距離が長引くことを意味していたから、余計に。
相談してくれなかったことが悔しくて。
「話してくれたって、応援したよ。それが君のしたいことなら、通らないといけない道なら」と伝えた。
君は「それなら事前に相談するのも、事後報告も同じだ」という。
だけど、いつ相手に伝えるか、いつ相手をその決断に関わらせるかは、
君が一人で歩んでいるのを横から見ている傍観者になるのと、
一緒に一歩ずつ進んでいくパートナーであるのとの、明確な差がそこにあるんだ。
そして、自分を「彼のパートナー」というアイデンティティに押し込めていた私と、
独りでその一歩を決めてしまった彼との差を感じて、
私はしばらくの間、自分がわからなくなった。
変数
私の決断は、彼との未来を思い描いていて、そこにつながる道の中での選択だった。
もちろん、それが私のやりたいことであることに変わりはない。
でも、もし私の人生に彼がいなかったら、私は全く違う道を生きていたかもしれない。
私の決断は、彼が動かすその心に基づいていて、
彼がいるのといないのとでは、多分全く違う決断をしている。
だから、どうすればいいかわからなくなった。
愛すると、なぜ期待してしまうのか。
信じているなら、期待する必要はないのに。
この1ヶ月、私は彼に電話しない。
彼の声も、テキストもない空間の中で、自分と向き合う。
彼のいない世界が、どんなものか。
私がいない世界が、彼にとってどんなものか。
私たちは知らない。
でも、一度、その空白を経験しなければ、
「私たち」の意味も、「私」の意味も、わからないままだ。
彼を選ぶにしても、選ばないにしても、
それは、空白のあとでなければ、本当の選択にはならない。
だから、この1ヶ月は、
私にとって、私たちにとって、
静かで、残酷で、必要な時間になる。
心
心がわからなくなることがある。
もしくは、心が暴れ出して、制御できなくなる時も。
そんなときは、どうすればいいのか。
まずは、心を整えること。
よく寝て、よく食べる。
人に会って、笑顔で話す。
公園に行って、太陽の下、一人佇む。
心に寄り添う動画や映画を見て、本を読む。
そして、よく寝る。
無理に心を動かそうとしなくていい。整えるだけでいい。
そしたら、自然と動くようになっていくから。
心を見失ったときは、昔のノートとか、昔見て心が動かされた映画とか音楽とかに触れるのもいい。
人間は意外と変わらない。
心動かされたものには二度、三度、心が動かされる。
同じものを見て、なぜ心が動かされたのかを思い出すことで、見えてくるものがあったりする。
見失ったときは、「今」に探すんじゃなくて、「過去」に探した方が、意外とすんなり見つかったりするものだ。
影を追う
あなたと同じ国から来た他の人を見て、あなたを重ねてしまう。
他の人と話している時に、あなたが何をしているのか気になって、心があなたを探して彷徨ってしまう。
心ここにあらずになってしまう。
他の人のことならすぐ忘れてしまうのに、あなたのことは、ちょっとしたことまで全部覚えてる。
忘れられない。
彼のテキストはいつもとても短い。
でも、そのテキストから、君の気分を見分けられるようになってしまっていた。
旅をしてたくさんの写真を送ってきた時、彼の楽しみが伝わってきて、
「疲れた」と一文送られてきた時は、その疲れをその一文から読み取った。
今は写真を送った後に、「今どこ?」とか、「楽しんでる?」って一言聞いてくる。
その一言は、彼も話したいけど、距離を取り戻したいけど、どうしていいかわからなくて。
私の一人の時間が必要だと言う主張を、尊重してくれている。
ありがとう。
言葉の行方
この一ヶ月、旅をしている間、たくさんの言葉を書き留めた。
怒りと、不安と、戸惑いと、愛と。
彼に話せない分、たくさんの言葉が連なった。
まだこんなにも気持ちを動かしてくれているのだと、感謝しながら思いをノートに綴った。
1日に一回しか話さない。メッセージを送らない。
でも、彼はずっと心の中にいた。
いろんな感情でぐちゃぐちゃの頭で、ずっと頭の中の彼と会話をしていた。
言えない言葉は、どんどん溜まっていってしまう。
同じ考え、同じ思想が頭の中を行き来する。
以前電話した時、全部思いを吐き出して、その後に彼が彼の考えを言ってくれていた時、
「あと何を言った?」って聞かれて、覚えてなかったことがある。
そんな感じなのだ。
言うことに全身全霊をかけて、言ったら、そこに込めた気持ちも出し切れる。
相手が受け取ってくれたら、それはそこに留まる。
受け取ってくれなかった分は、この世界に消えていく。
受け取ってくれた分だけ、彼の中にとどまる。
言葉をそのまま覚えてなくても、この想い、この感情を受け取ってくれていたらいいと心から願う。
「こんなにも真っ直ぐに君のいいところを見て、抱きしめている子がいるんだよ」って。
「そんなにも君は大事だったから、誰かの大事になれる人だから、大丈夫だよ」って、覚えていてね。
旅の変化
昔は一人であんなに楽しかった旅が、楽しめなくなった。
誰かと、君と一緒にいる楽しみを、共有する楽しみを知ってしまったから。
ただ「どうしてるのかな」って考えて、会いたくなってしまう。
心が動くもの・ことがあったらすぐ言いたくなってしまう。
ああ、私は弱くなった。
そして、離れていったもの
そしてこの一ヶ月、必要最低限の連絡以外、彼と連絡を取らなかった。
そうしたら、彼にとってその一ヶ月は長すぎる一ヶ月で、
多くのことが彼を襲う一ヶ月で、
いるべき時に私が彼の元を離れていたせいで、彼はより私から遠ざかっていた。
私たち二人ともがその変化についていけなくて、
二人の関係が、静かに、しかし確実に、色を失い、消えかかっていった。
1ヶ月間、一人で自分の気持ちに整理をつける。
彼が国に残ると言った時、静かに受け止めている自分がいた。
彼も、何も聞きもせず、ただ静かに受け入れた私の様子に、戸惑ったように見えた。
その時は何も言えなくて、電話を切ってから静かに泣いた。
どこかでわかっていたのかもしれない。いつかこういう瞬間が来ることを。
彼に向かってかける言葉が見つからなくて、沈黙が唯一の盾だった。
一人旅
たまたま、その後の一ヶ月、一人旅をする予定があった。
彼の国に行こうかどうか迷っていたけど、どっちにしろ秋にはまた私が国に帰って、彼も国に来るからすぐ会えると思って、「最後の一人旅かな」って思って企画した旅だった。
その旅を、こんな風に使うことになるとは思ってなかったけど、利用することにした。
いつも彼の主張を私が受け入れるだけなのが嫌だった。
受け入れはする。尊重はする。でも、それでも私の態度は見せたかった。
それに、話すと、感情が溢れて彼を責めてしまいそうだったから。
自分の気持ちを整理する時間が必要だった。
彼の選択を受け入れて、将来に向けて前向きに変われるように。
これからの遠距離を受け止めるために、違う国にいて、隣にいられない生活に向けての覚悟とエネルギーを蓄えるために。
最小限の連絡
1日一回は連絡する。写真を送る。それだけ。
それ以上は連絡しないと伝えた。
初めは二人ともこの街にいて、君が国に帰るって言った時。
その時私たちは何の関係でもなかったから、一人で決めちゃって、相談してくれなくて、悲しかったけど、何も言えなかった。
今は、一緒になれたのに。二、三日に一回電話している関係なのに。
私は就活の状況とか、「この仕事はどうかな」って君の意見を聞きながら進めてたのに。
君は勝手に決めてしまった。
相談できない自分であったことが、相談できない私たちであったことが悲しく心が重かった。
そんなまっすぐな私の言葉に、彼は言った。
「自分の中の悪い部分を全部開け放って、『見ろ』って言われてるように感じる」と。
正直で、まっすぐであることは、時に凶器になる。
それでも、彼は私に言わせてくれるし、聞いてくれる。
心を開くことを許してくれる。
これは貴重なことだ。こんな関係を築ける人は、他にそうそういない。
電話で彼の顔を見て、思った。
ああ、これは失えないな、と。
ああ、この感じが、友達と恋人の違いなんだ、と。
この感情、この思いは、何度失恋しても変わらずそこにあり続けるのだろう。
何度も何度も同じ人に恋をしては、失恋してを繰り返す。
恋愛関係
彼は「どう関係を作っていくのか、わからない」って。「愛がわからない」と呟いた。
ふざけるな、と思う。
君は愛を知っている。あなたが私に愛とは何かを教えてくれた。見せてくれた。
恋愛関係について、私は彼より先を行っていると彼は言った。
彼が私に愛とは何かを教え、私は成長しながら、彼の教えてくれた愛より先に行った。
そして今、彼は「スローダウンしろ」と言う。
今度は私が待つ番なのだ。
彼の方がずっと先に生きていると思っていたけど、三年の差は大きいと思っていたけど、私の方が先を見ている部分もあったのだ。
いつか、同じように感じてくれたらと思う。
今はまだ、その時が来ていないのだと信じて進む。
その時が来ると信じるのとは違う。
来ないかもしれないと、どこかで準備しながら、なんとか続けていく。
リスト
彼に頼んだ。
「あなたが私と付き合うと決める前に、考慮したすべての要素をリストにして」と。
この一ヶ月、私だけが考えるんじゃなくて、彼にも考えて欲しかった。
私たちの関係を見つめ直して欲しかった。
私と一緒に住みたいと言う前に何を考えていて、どうして今回の決断に至ったのか。
知らないと、どこまで信じられるのかわからないから。
彼は「考えとく」と言って、頷いてくれた。
決断
「どうやって決断してる?」
この質問は、今でも私の心に残っている。
そんな深い話をしてくれたあなただから、尊敬できるあなただから、好きになった。
私たちは、何に基づいて決断しているのだろう。
頭と、心と。「理性」と「情」。
そして、誰の言葉に寄りかかって、影響されて、押し出されて、決断しているのか。
この質問に、あの時の私はこう答えた。
やりたいことをやって、その結果がどうなっても納得できるように、自分のことに関しては心に従う、と。
自分のことだけなら、自分のした行動の結果がどうなっても対処できるから。
でも、その行動の結果が他の人の心に影響を与えるとき、
その時は心に蓋をして、頭の声に従わなければならないとも。
でもこの答えは、今まで一人で、人との関わりを最低限にしてきた自分だからこその答えなのだと、私たちの関係の中で、痛く気づかされた。
付き合っていると、何でも相手に影響してしまう。
仕事、家族、買い物、何をするにも相手が頭に浮かんでくる。
だから、自分とは何なのか、わからなくなる時期がある。
特に、相手が仕事を私に相談せずに決めてしまって、
それが遠距離が長引くことを意味していたから、余計に。
相談してくれなかったことが悔しくて。
「話してくれたって、応援したよ。それが君のしたいことなら、通らないといけない道なら」と伝えた。
君は「それなら事前に相談するのも、事後報告も同じだ」という。
だけど、いつ相手に伝えるか、いつ相手をその決断に関わらせるかは、
君が一人で歩んでいるのを横から見ている傍観者になるのと、
一緒に一歩ずつ進んでいくパートナーであるのとの、明確な差がそこにあるんだ。
そして、自分を「彼のパートナー」というアイデンティティに押し込めていた私と、
独りでその一歩を決めてしまった彼との差を感じて、
私はしばらくの間、自分がわからなくなった。
変数
私の決断は、彼との未来を思い描いていて、そこにつながる道の中での選択だった。
もちろん、それが私のやりたいことであることに変わりはない。
でも、もし私の人生に彼がいなかったら、私は全く違う道を生きていたかもしれない。
私の決断は、彼が動かすその心に基づいていて、
彼がいるのといないのとでは、多分全く違う決断をしている。
だから、どうすればいいかわからなくなった。
愛すると、なぜ期待してしまうのか。
信じているなら、期待する必要はないのに。
この1ヶ月、私は彼に電話しない。
彼の声も、テキストもない空間の中で、自分と向き合う。
彼のいない世界が、どんなものか。
私がいない世界が、彼にとってどんなものか。
私たちは知らない。
でも、一度、その空白を経験しなければ、
「私たち」の意味も、「私」の意味も、わからないままだ。
彼を選ぶにしても、選ばないにしても、
それは、空白のあとでなければ、本当の選択にはならない。
だから、この1ヶ月は、
私にとって、私たちにとって、
静かで、残酷で、必要な時間になる。
心
心がわからなくなることがある。
もしくは、心が暴れ出して、制御できなくなる時も。
そんなときは、どうすればいいのか。
まずは、心を整えること。
よく寝て、よく食べる。
人に会って、笑顔で話す。
公園に行って、太陽の下、一人佇む。
心に寄り添う動画や映画を見て、本を読む。
そして、よく寝る。
無理に心を動かそうとしなくていい。整えるだけでいい。
そしたら、自然と動くようになっていくから。
心を見失ったときは、昔のノートとか、昔見て心が動かされた映画とか音楽とかに触れるのもいい。
人間は意外と変わらない。
心動かされたものには二度、三度、心が動かされる。
同じものを見て、なぜ心が動かされたのかを思い出すことで、見えてくるものがあったりする。
見失ったときは、「今」に探すんじゃなくて、「過去」に探した方が、意外とすんなり見つかったりするものだ。
影を追う
あなたと同じ国から来た他の人を見て、あなたを重ねてしまう。
他の人と話している時に、あなたが何をしているのか気になって、心があなたを探して彷徨ってしまう。
心ここにあらずになってしまう。
他の人のことならすぐ忘れてしまうのに、あなたのことは、ちょっとしたことまで全部覚えてる。
忘れられない。
彼のテキストはいつもとても短い。
でも、そのテキストから、君の気分を見分けられるようになってしまっていた。
旅をしてたくさんの写真を送ってきた時、彼の楽しみが伝わってきて、
「疲れた」と一文送られてきた時は、その疲れをその一文から読み取った。
今は写真を送った後に、「今どこ?」とか、「楽しんでる?」って一言聞いてくる。
その一言は、彼も話したいけど、距離を取り戻したいけど、どうしていいかわからなくて。
私の一人の時間が必要だと言う主張を、尊重してくれている。
ありがとう。
言葉の行方
この一ヶ月、旅をしている間、たくさんの言葉を書き留めた。
怒りと、不安と、戸惑いと、愛と。
彼に話せない分、たくさんの言葉が連なった。
まだこんなにも気持ちを動かしてくれているのだと、感謝しながら思いをノートに綴った。
1日に一回しか話さない。メッセージを送らない。
でも、彼はずっと心の中にいた。
いろんな感情でぐちゃぐちゃの頭で、ずっと頭の中の彼と会話をしていた。
言えない言葉は、どんどん溜まっていってしまう。
同じ考え、同じ思想が頭の中を行き来する。
以前電話した時、全部思いを吐き出して、その後に彼が彼の考えを言ってくれていた時、
「あと何を言った?」って聞かれて、覚えてなかったことがある。
そんな感じなのだ。
言うことに全身全霊をかけて、言ったら、そこに込めた気持ちも出し切れる。
相手が受け取ってくれたら、それはそこに留まる。
受け取ってくれなかった分は、この世界に消えていく。
受け取ってくれた分だけ、彼の中にとどまる。
言葉をそのまま覚えてなくても、この想い、この感情を受け取ってくれていたらいいと心から願う。
「こんなにも真っ直ぐに君のいいところを見て、抱きしめている子がいるんだよ」って。
「そんなにも君は大事だったから、誰かの大事になれる人だから、大丈夫だよ」って、覚えていてね。
旅の変化
昔は一人であんなに楽しかった旅が、楽しめなくなった。
誰かと、君と一緒にいる楽しみを、共有する楽しみを知ってしまったから。
ただ「どうしてるのかな」って考えて、会いたくなってしまう。
心が動くもの・ことがあったらすぐ言いたくなってしまう。
ああ、私は弱くなった。
そして、離れていったもの
そしてこの一ヶ月、必要最低限の連絡以外、彼と連絡を取らなかった。
そうしたら、彼にとってその一ヶ月は長すぎる一ヶ月で、
多くのことが彼を襲う一ヶ月で、
いるべき時に私が彼の元を離れていたせいで、彼はより私から遠ざかっていた。
私たち二人ともがその変化についていけなくて、
二人の関係が、静かに、しかし確実に、色を失い、消えかかっていった。
