5月から2ヶ月経った。
7月に入り、席替えすると僕は運良く窓際の席になった。神山は前回とほぼ変わらない真ん中の席で、今日も休憩時間は皆に囲まれている。
次は移動教室だったため教材を纏めて廊下を歩いていれば掲示板が目に入る。
『新聞部』
〝全生徒に聞いた! 学年別好きな教科ランキング〟
可もなく不可もなくの内容だ。
暇な生徒がチラッと見て、でもまじまじと見ることはなく「ま、予想してたのと同じだ」という表情で通り過ぎていく。
あれから神山は七不思議を探ってはいないのだろう。僕と会話したのもそれきりだったし。
新聞記事を見つめていたが、後から神山たちが会話しながら移動してくるのを感じ僕も急いで先に向かう。
*
2ヶ月前。
狐と狸は確かに目の前にいたのに、写真には何も写らなかった。あの時の僕と神山の間に流れた空気はそれはもう、最悪で。
「……これって、心霊現しょ──」
「言わないで!」
認めたくなくて大声で遮れば神山は目を丸くして僕を見る。
「……苦手なんだな」
「理由の見つからない不可解な現象は、好きじゃない」
「……俺、もう一回見てくる!」
「え⁉︎ ちょ、ちょっと!」
「あ、神谷は先帰ってていーよ! また明日な〜」
また体育館裏に向かう神山の背中を見つめてその日は別れた。あれから、尋ねることも出来ず早2ヶ月。
掲載された新聞記事を見て思い出した。……帰りに、少し覗いてみようか。
*
放課後、体育館裏に向かう。体育館はスポーツ部が使っているので賑やかな声が聞こえるが、体育館裏には人はいない。表は結構いるのに。ヤンキーが屯しているわけでもなく。
まるで、この場所を知ってる人だけが入ることが出来る空間のようで。
あの日見た大きな桜の木の下。小さな窪みがある部分。そっと覗き込むと……神山と一緒に見た時と変わらず、狐と狸が寄り添って眠っている。
(しっかり、目の前にいるな……)
ゴク、と生唾を飲み込みながらカメラを構えて撮る。……心拍数が上がっていくのを感じながら、深呼吸をして写真を確認する。
(……! やっぱり、写っていない……!)
この狐と狸がそういう類いなのか、はたまた僕がおかしくなってしまったのか。
心臓がドッ、ドッ、と脈立って激しい。顔に一気に血が上っていく感覚。僕は今とんでもないものを目にしている……気がする。
(神山は……どうだったんだろう)
僕を置いてもう一度確認しに行った彼は、この2匹がただの動物ではないことに気付いているのだろうか。
気付いたから、七不思議として取り上げずに可もなく不可もなくな記事になった?
(真相を尋ねるには、あの陽キャグループに話しかけなければならない……)
神山1人なら平気なのだ。しかし彼の周りには常に人がいる。人気だから。
(……帰ろう)
眠っている2匹を暫く見つめ……立ち上がって歩き出す……と。
「神谷?」
なんと目の前には神山が突っ立っていた。
7月に入り、席替えすると僕は運良く窓際の席になった。神山は前回とほぼ変わらない真ん中の席で、今日も休憩時間は皆に囲まれている。
次は移動教室だったため教材を纏めて廊下を歩いていれば掲示板が目に入る。
『新聞部』
〝全生徒に聞いた! 学年別好きな教科ランキング〟
可もなく不可もなくの内容だ。
暇な生徒がチラッと見て、でもまじまじと見ることはなく「ま、予想してたのと同じだ」という表情で通り過ぎていく。
あれから神山は七不思議を探ってはいないのだろう。僕と会話したのもそれきりだったし。
新聞記事を見つめていたが、後から神山たちが会話しながら移動してくるのを感じ僕も急いで先に向かう。
*
2ヶ月前。
狐と狸は確かに目の前にいたのに、写真には何も写らなかった。あの時の僕と神山の間に流れた空気はそれはもう、最悪で。
「……これって、心霊現しょ──」
「言わないで!」
認めたくなくて大声で遮れば神山は目を丸くして僕を見る。
「……苦手なんだな」
「理由の見つからない不可解な現象は、好きじゃない」
「……俺、もう一回見てくる!」
「え⁉︎ ちょ、ちょっと!」
「あ、神谷は先帰ってていーよ! また明日な〜」
また体育館裏に向かう神山の背中を見つめてその日は別れた。あれから、尋ねることも出来ず早2ヶ月。
掲載された新聞記事を見て思い出した。……帰りに、少し覗いてみようか。
*
放課後、体育館裏に向かう。体育館はスポーツ部が使っているので賑やかな声が聞こえるが、体育館裏には人はいない。表は結構いるのに。ヤンキーが屯しているわけでもなく。
まるで、この場所を知ってる人だけが入ることが出来る空間のようで。
あの日見た大きな桜の木の下。小さな窪みがある部分。そっと覗き込むと……神山と一緒に見た時と変わらず、狐と狸が寄り添って眠っている。
(しっかり、目の前にいるな……)
ゴク、と生唾を飲み込みながらカメラを構えて撮る。……心拍数が上がっていくのを感じながら、深呼吸をして写真を確認する。
(……! やっぱり、写っていない……!)
この狐と狸がそういう類いなのか、はたまた僕がおかしくなってしまったのか。
心臓がドッ、ドッ、と脈立って激しい。顔に一気に血が上っていく感覚。僕は今とんでもないものを目にしている……気がする。
(神山は……どうだったんだろう)
僕を置いてもう一度確認しに行った彼は、この2匹がただの動物ではないことに気付いているのだろうか。
気付いたから、七不思議として取り上げずに可もなく不可もなくな記事になった?
(真相を尋ねるには、あの陽キャグループに話しかけなければならない……)
神山1人なら平気なのだ。しかし彼の周りには常に人がいる。人気だから。
(……帰ろう)
眠っている2匹を暫く見つめ……立ち上がって歩き出す……と。
「神谷?」
なんと目の前には神山が突っ立っていた。
