職員室に課題を届け、やっと帰路につけば、先に帰ったはずの神山が校門前にいた。周りをキョロキョロしていて何やら探しているようだ。
そのまま無視して校外へ出ても良かったが……少し。ほんの少し気になってしまい「何か探してるの?」と声をかけた。
「ん? おー、神谷じゃん。こんな時間まで珍し……いや、居残りさせられた感じか」
「……まあ」
「お疲れ〜」
神山はいつも周りにいる同級生たちと同じように僕と会話をし、少しむず痒くなる。大体は相手もぎこちなく敬語を使ってきたりするのに。でもそれは……僕が相手に心を開いていないから、というのも感じ取っている。わかってはいるけれど、身構えてしまう。
そんな僕を知ってか知らずか、神山は「良いネタないかな〜」と校門前から校舎を見上げる。
「良いネタ?」
「おう。俺、新聞部なんだけどさ。学校であった出来事を当事者にインタビューして記事にして掲示板に貼るわけ。でも『サッカー部優勝候補!』とか『全生徒に聞いた! 好きな教師ランキングトップ10!』とかありきたりなものでつまんなくてさ……」
「ふぅん」
全生徒に聞いた割に僕にはアンケート来てなかったなあ。と思いながら話を聞いていく。
「なんかこう……もっとこう、読む人を惹きつけられるものを記事にしたい! と思って」
「……それを、今探してるの?」
「そう。俺が今狙ってるのは『学校の七不思議』」
「……」
クラスの人気者である神山からそんな言葉が出るとは。少し現実味がないなあ、と思ってしまう。
「僕たちの学校に二宮金次郎の銅像はないから、六不思議になっちゃうんじゃない?」
「まーまー。王道な話じゃなくても。なんか話題になったら良いなと思って。とりあえず七つ、良いネタを探したい!」
「……いつも周りにいる同級生たちに声かけたら探してくれるんじゃない? どうしてわざわざ1人で……」
「一度尋ねたんだけど。『誰かと誰かは恋人いるのに他の人と浮気してる』みたいなしょうもないものばかりで。一応学校代表の新聞部だから、誰かを下げる記事は出来ないんだよね。他の部員もそこまで本気じゃないし」
「……どうして神山くんは新聞を作りたいの?」
新聞部は文化部の1つ。彼ならスポーツ部に入って人気を掻っ攫っていきそうだというのに。何故わざわざ地道な作業が必要な新聞部に?
神山は僕を見て口角を上げると「天下取りたいから」と言う。
「天下?」
「読む人の視線を集めたい。あっと驚かせたい。まだ皆が知らないことを知らしめたい」
「……なんだか、ゴシップ記者みたい……」
そう呟けば神山は少し目を丸くして「心外だなあ」と言う。
「注目の的になりたいなら、スポーツ部にでも入れば良かったんじゃない?」
「うわ。神谷って結構皮肉めいたこと言うタイプ? いつも大人しいからわからなかったけど内心相手をボロカスに言ってんだ」
「……全員に対して言ってる訳じゃないけど、不満がある人に対しては……言ってる、かも」
「はは。まーそういうものだよね」
神経を逆撫でするようなことを言ってしまったかもしれないのに、神山は楽しそうにしてる。僕と会話して何が楽しいのだろう。
「確かに注目を浴びるのは俺好きな方なのかも。だから俺、新聞部に入ったのかな〜」
「スポーツ部じゃなくて?」
「だって俺、足怪我してるし」
人と関わらなかったことが仇になる。
他の人なら大抵は知っていたかもしれない情報を、僕はここで初めて知る。
神山は、本格的にスポーツが出来ないから新聞部に入った。
僕の「しまった」という顔をしっかりと見た神山はまたニコリと笑い「少し気になることがこの先にあって。10分だけでいいから付き合ってくれる?」と僕に言うのだった。
そのまま無視して校外へ出ても良かったが……少し。ほんの少し気になってしまい「何か探してるの?」と声をかけた。
「ん? おー、神谷じゃん。こんな時間まで珍し……いや、居残りさせられた感じか」
「……まあ」
「お疲れ〜」
神山はいつも周りにいる同級生たちと同じように僕と会話をし、少しむず痒くなる。大体は相手もぎこちなく敬語を使ってきたりするのに。でもそれは……僕が相手に心を開いていないから、というのも感じ取っている。わかってはいるけれど、身構えてしまう。
そんな僕を知ってか知らずか、神山は「良いネタないかな〜」と校門前から校舎を見上げる。
「良いネタ?」
「おう。俺、新聞部なんだけどさ。学校であった出来事を当事者にインタビューして記事にして掲示板に貼るわけ。でも『サッカー部優勝候補!』とか『全生徒に聞いた! 好きな教師ランキングトップ10!』とかありきたりなものでつまんなくてさ……」
「ふぅん」
全生徒に聞いた割に僕にはアンケート来てなかったなあ。と思いながら話を聞いていく。
「なんかこう……もっとこう、読む人を惹きつけられるものを記事にしたい! と思って」
「……それを、今探してるの?」
「そう。俺が今狙ってるのは『学校の七不思議』」
「……」
クラスの人気者である神山からそんな言葉が出るとは。少し現実味がないなあ、と思ってしまう。
「僕たちの学校に二宮金次郎の銅像はないから、六不思議になっちゃうんじゃない?」
「まーまー。王道な話じゃなくても。なんか話題になったら良いなと思って。とりあえず七つ、良いネタを探したい!」
「……いつも周りにいる同級生たちに声かけたら探してくれるんじゃない? どうしてわざわざ1人で……」
「一度尋ねたんだけど。『誰かと誰かは恋人いるのに他の人と浮気してる』みたいなしょうもないものばかりで。一応学校代表の新聞部だから、誰かを下げる記事は出来ないんだよね。他の部員もそこまで本気じゃないし」
「……どうして神山くんは新聞を作りたいの?」
新聞部は文化部の1つ。彼ならスポーツ部に入って人気を掻っ攫っていきそうだというのに。何故わざわざ地道な作業が必要な新聞部に?
神山は僕を見て口角を上げると「天下取りたいから」と言う。
「天下?」
「読む人の視線を集めたい。あっと驚かせたい。まだ皆が知らないことを知らしめたい」
「……なんだか、ゴシップ記者みたい……」
そう呟けば神山は少し目を丸くして「心外だなあ」と言う。
「注目の的になりたいなら、スポーツ部にでも入れば良かったんじゃない?」
「うわ。神谷って結構皮肉めいたこと言うタイプ? いつも大人しいからわからなかったけど内心相手をボロカスに言ってんだ」
「……全員に対して言ってる訳じゃないけど、不満がある人に対しては……言ってる、かも」
「はは。まーそういうものだよね」
神経を逆撫でするようなことを言ってしまったかもしれないのに、神山は楽しそうにしてる。僕と会話して何が楽しいのだろう。
「確かに注目を浴びるのは俺好きな方なのかも。だから俺、新聞部に入ったのかな〜」
「スポーツ部じゃなくて?」
「だって俺、足怪我してるし」
人と関わらなかったことが仇になる。
他の人なら大抵は知っていたかもしれない情報を、僕はここで初めて知る。
神山は、本格的にスポーツが出来ないから新聞部に入った。
僕の「しまった」という顔をしっかりと見た神山はまたニコリと笑い「少し気になることがこの先にあって。10分だけでいいから付き合ってくれる?」と僕に言うのだった。
