スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

「つーかそもそも、この図書室って学校の端っこでさ? この壁の先って何もないはずだろ?」

 壁に手を当てながら慧護は呟く。
 肯定しようとし……前に学校全体を撮ったことがあったと思い出し写真を振り返っていく。

 それは昼間のものだった。
 図書館は写真に写る学校の右側の窓の部分。しかし窓は1番端ではなく、その奥があるようで……。

「この奥、あると思う。今まで気にしたことがなかったけど」
「え。なにそれ。怖い」
「……ミステリー系なら隠し通路みたいなのとか……この棚、動かせたりするんじゃないの?」
「え、え〜……?」

 本棚を膝調べ始める僕と、にわかには信じがたいという表情の慧護。
 狸はじっと僕たちを見つめている。
 怪異がここにやって来る気配はない。

「暗くてわかりにくいけど……普段、この棚って何の本が置かれているんだっけ?」
「あ、俺去年図書委員やったことあるから覚えてる。縁が今調べてる棚は……動物の資料みたいなものが多かったかな」
「へえ……随分専門的なものがあるんだね」
「そうそう。色んな動物の資料があったんだけど、特に分厚かったのが狐と狸で──」

 狐と狸。ここでも出てくる。
 僕たちの通う学校はこの2匹をシンボルにしているのだろうか。

「──でもそんな分厚くて重い本誰も手に取る様子はなくて。一度触ってみたらマジで重いの! 大きい石でも入ってるんじゃないか⁉︎ ってくらい」

 慧護の言葉を聞きながら。真っ暗で見え辛いから狸に目配せしてみれば意図がわかったのか近づいて来てくれる。

 狸からの青白い光を頼りに本棚を探していけば『狸』とだけ書かれた分厚い資料があった。

「……重い!」
「だろ? 持ち上げるのもやっとなくらいで……誰も読もうとはしなかったんだよ」

 慧護も手伝ってくれる。
 手にした本を一度床に置き、次に『狐』と書かれた分厚い資料も床に置く。

「この本を抜いたら本棚が動く……」
「……そんな様子は、無いな」
「詰んだ」
「はは、縁も詰んだとか言うんだ」
「そりゃ、言うよ……」

 重くて分厚い資料。
 みんな読まないと言っていたけれど僕は興味を惹かれてしまい狸の表紙を捲ろうとする。……も、そもそも持ち上がらない。

「あ、あれ……? (ひら)かない」
「マジで石が入ってたりして」

 ふざけて慧護が言った。……しかし妙に的を射ている気がして僕たちは顔を見合わせてから資料を少し振る。

 ゴトゴト、と音がした。

「資料じゃなくて、石を隠しているものだったんだ……!」

 狐の資料の中にも大きな石が入っている。その石をそれぞれ持つと、石は2匹と同じように青白い光を放ち──。

 ガチャン、と開錠される音と共にギギギ……と本棚が動いて。

 奥には、小さな扉があった。

「何これ。学校の七不思議かよ」
「本当に、誰も気づかなかったのかな」
「……行ってみようか」

 頷くと、慧護は扉を開けた。しかしその先はさらに真っ暗闇だった。入って良いのか戸惑っていればのそのそと狸が先頭で歩いていく。

 僕たちも目を見合わせて中に入っていく。