スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

「慧護くん……慧護くん!」

 廊下を歩き続ける慧護の腕を掴む。
 振り返った慧護は、僕を見て「来たんだ」と呟く。

「多くの人を巻き込んだ俺には着いて来ないと思った」
「な、なに言ってるの。慧護くんが悪いわけじゃないよ」

 ブンブン首を横に振り、皆で集まっていた教室とはまた別の教室に入り込む。中には誰もおらず、2人きりの空間。

「……田沼くんのことなんだけど。僕、ずっと前からいけ好かなかったんだよね。だから……慧護くんと田沼くんの関係が破綻してよかった、というか……なんだか性格悪いな、僕」
「……」
「僕を悪く言うのはいいんだけど、みんなを助けようとしてた慧護くんが悪く言われるのは、許せなくて……着いてきちゃった」
「……縁」
「一緒にいても、いいかな」

 拒否されても、僕は着いていくしか出来ないだろう。1人で生き延びようとも思わない。助かるなら2人一緒がいい。もしくは、2人でやれるだけ足掻いて怪異に呑まれるか。

 間違っても田沼たちの元にはいたくない。

 慧護は僕を見つめ……ふっと笑う。

「そんなにいたいなら、いいよ」
「ありがとう」

 隣にいることを許されて、安堵するなんて。この場にいなかったら経験しなかっただろう。

「あ、そうだ。さっきの怪異の頭に狐と狸がいて……つい撮ったんだ」
「結構度胸出てくるようになったじゃん」
「写真はまだ確認してないから一緒に見るんだけど──」

 画面を確認すると、しっかり動物2匹の姿は写ってはいるが……青白く綺麗に光っているようだった。
 肉眼で見た時は普通の動物だったというのに。

「……これは、いつも体育館裏で見ていた2匹かな」
「不思議な動物といったらその2匹しかいないからそうだろうね。……あの時は、写真には写らなかったけど、今は淡く光っているということは……」
「幽霊というよりは、守護神みたいな……?」

 慧護が首を傾けながら言う。

「怪異に呑み込まれた人の腕を咥えて引き抜こうとしてたから、守護神というのもあながち間違ってないかも……」
「それに、今までの状況から察すると動物の姿を見ることが出来るのも多分俺らだけ……」

 慧護と目を合わせる。
 そのまま首を傾げる。
 怪異と動物たちが、どう関係あるのだろうか。

「……さっきは迂闊に扉が開いて酷いことになったけど。怪異は扉を自ら開けることは出来ない。……しばらく休もう」

 色々あって慧護も疲れただろう。
 席に着いて机に顔を伏せる慧護を見つめ……僕も少し離れた場所で椅子に座る。

 廊下を見るが今は怪異の気配は無い。窓を覗き込んでも月の光が差し込む角度は変わっていないようだった。