スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

 作戦を実行する以前の問題。
 既に目の前に怪異がいる。

 皆が呆然と怪異を見上げる中、グォオ! と大きな鳴き声を上げて……怪異は大きな口を開ける。

「恨むなよ」

 1番前にいた田沼は後ろにいた男子生徒に言うと、前に差し出した。男子生徒が何か言い返す前に上半身は怪異の口の中に入り込み……背骨がバキバキ、と教室に響き渡る音を出して折れていく。

 だらん、と暴れていた両腕が揺れる。
 ムシャァ……ムシャァ……と男子生徒の体は怪異の中に取り込まれていく。

 ゲップをした怪異は、体に付いている複数の形の違う人間の目で周りをキョロキョロし次のターゲットを探す。

 ここからが地獄絵図だった。
 皆が悲鳴を上げ散り散りになる。

 怪異は中にいる生徒たちを食べ尽くそうと狭い入り口をどうにか潜り抜けようとしている。

 教室の隅に縮こまって泣いている者。
 机を移動させて怪異が入って来れないようにしている者。
 反対側の扉から廊下に飛び出して逃げる者。

(……あれ? 怪異の頭にいるのは──)

 今まで見た怪異と違うのは、頭の上に狐と狸がいたことだ。その2匹は……怪異に呑み込まれた剥き出しの腕を咥えて取り出そうとしている、のだろうか。

 皆が逃げ惑い、心臓も強く脈立ち苦しいくらいなのに頭はどこか冷静でカメラを構えて狐と狸にピントを合わせてシャッターを切る。

 そのあと、慧護に手を引かれて教壇の中に隠れる。

 教室にすぐに入ることが出来ないと悟った怪異は目玉をギョロッと廊下に向け一目散に駆けて行く。

 数秒後、数人の悲鳴とバキッと骨が折れる音がした。

 静寂。

「もう、大丈夫みたい」

 慧護が教室を見渡して僕に言う。僕も立ち上がり、怯えている生徒たちを見……廊下を少し見つめる。もう狐と狸の姿は無い。

「慧護くん。今、気になることがあって──」
「ミヤマ」

 動物2匹のことを伝えようとすれば田沼が割り込む。背中を痛めたのか顔を顰めながら、慧護を睨みつける。

「……お前の、せいだからな」

 突然の言葉に、僕と慧護は絶句してしまった。