スクープ!《学校に棲みつく動物2匹と、姿を消した生徒の行方》

 近づいてきたナニカに緩んでいた空気は一気に緊張感が走る。僕と慧護は一度目を見合わせ、そして隠れてカメラを構える。

 ただでさえ心霊系が苦手な僕なのに。
 心臓バックバクなのに逃げずに待ち構えていられるのは。

 背後で慧護が僕の背中に手を添えてくれているからだろう。

 ぐちょ……ぬちょ……。
 グォオ……と怪物のような呻き声も聞こえる。

 近づいた分また強くなる腐敗臭。

 吐き気に堪えながら、一瞬を狙う。

 教室の真横に来た。月明かりに照らされるナニカを、ファインダー越しに見つめる。

 慧護が教えてくれた通り、小さな集まりの1つは人間の目玉で。バチリと目が合った。

(う、わ)

 心臓は煩いくらいに脈立ち苦しいほどなのに、頭は冷静で静かにシャッターを切る。カシャ、と音がした時ナニカは勢いよくこちらを向く──が、下に勢いよく引き込まれて見つかることは避けられたらしい。

 キョロキョロと見渡したあと、ナニカはまた廊下を歩いて教室から離れていく。

「……助かった、よ……慧護くん」

 僕を下に引き込んだ慧護だったが、バランスを崩して僕が馬乗りみたいになってしまった。慌てて離れると「縁、案外肝が据わってるんだね」とゆっくり起き上がる。

「そうかな」
「そうだよ。フィルター越しでもヤバい奴を目にしてるのに動揺した気配なかったし、冷静にシャッター切ってたし」
「それは、事前に慧護くんから情報を貰っていたからだよ。慧護くんが詳しく教えてくれたから案外……正気度は大丈夫だったのかも。僕だって心臓飛び出しそうだったんだから」

 ナニカに見つからなかったことに安堵し、そして2人でカメラを覗き込む。

 目の前で見た得体の知れないナニカ。

 カメラ越しに見たモノは。

「……これは」
「やっぱりみんな、巻き込まれているんだ」

 写真に写っているのは。
 小さな山にぎゅうぎゅうに閉じ込められて気を失っている、肝試しに参加した生徒たちの姿だった。

 肉眼で見た時は手や足が切り離され目玉もくり抜かれて見るに耐えない恐ろしい姿だったが、写真は何も恐ろしくはない。

 大勢の生徒たちがその中で気を失っている。
 ただ、少し写る廊下は肉壁のようで恐ろしい見た目になっていた。

 あべこべになっているようだった。

 だったら、教室は?

 ふと気になって写真を撮ろうとして、止める。

 ……わざわざ正気を失いたいとは思わない。

 学校全体が、胃の中になっているようだった。

「どうすればいいと思う? 慧護くん」
「……」

 しばらく考えた後、言葉にする。

「田沼たちと合理しよう」