「毒の香炉とは穏やかじゃないね」
「はい。まったく穏やかじゃありません」
皇帝・恩雲に呼ばれて開口一番のこの言葉に、冥焔は深く頭を垂れた。
「あれから尚方に確認を取ったところ、あの香炉は全部で四つあったようです。尚方内で作製したものではなく、市にて担当の者が仕入れたようで、窯元を突き止めるのは容易ではなさそうです」
「四つってのがにくいよねえ。報告では瑞獣が描かれてたって話だし、四神をかたどったものならすべてそろえたいと考えるのは当たり前だもんね」
皇帝は椅子に腰を下ろし、佩玉をいじりながら苦笑した。柔和な光を湛えた黒い瞳は困ったことになったと言わんばかりに細められ、眉間にも緩やかなしわがよる。
四神とは、国の守り神である。東西南北それぞれを守る獣がいると『焱国』には伝えられているのだ。今回毒が見つかった香炉も、その四神のうちのひと柱、南を守る鳥が鮮やかに描かれていた。
「で、全部で四つ仕入れたうちのひとつが盗まれて、もうひとつが瑛琳のところで見つかったと。残りふたつは」
恩雲の言葉に、冥焔は揖礼を捧げながら答えた。
「尚方内で確認が取れております」
「それはなによりだ」
「同じような事態が起こらぬよう、妃たちにも香炉の毒について、伝えたほうがよろしいかもしれません」
冥焔の進言に皇帝はもっともだとうなずいた。
「そうだね。妃の手に渡るのは防げたとはいえ、被害者も出ている。いたずらに怖がらせるのは不本意ではあるが、気をつけておくにこしたことはないからね。」
「はい。まったく穏やかじゃありません」
皇帝・恩雲に呼ばれて開口一番のこの言葉に、冥焔は深く頭を垂れた。
「あれから尚方に確認を取ったところ、あの香炉は全部で四つあったようです。尚方内で作製したものではなく、市にて担当の者が仕入れたようで、窯元を突き止めるのは容易ではなさそうです」
「四つってのがにくいよねえ。報告では瑞獣が描かれてたって話だし、四神をかたどったものならすべてそろえたいと考えるのは当たり前だもんね」
皇帝は椅子に腰を下ろし、佩玉をいじりながら苦笑した。柔和な光を湛えた黒い瞳は困ったことになったと言わんばかりに細められ、眉間にも緩やかなしわがよる。
四神とは、国の守り神である。東西南北それぞれを守る獣がいると『焱国』には伝えられているのだ。今回毒が見つかった香炉も、その四神のうちのひと柱、南を守る鳥が鮮やかに描かれていた。
「で、全部で四つ仕入れたうちのひとつが盗まれて、もうひとつが瑛琳のところで見つかったと。残りふたつは」
恩雲の言葉に、冥焔は揖礼を捧げながら答えた。
「尚方内で確認が取れております」
「それはなによりだ」
「同じような事態が起こらぬよう、妃たちにも香炉の毒について、伝えたほうがよろしいかもしれません」
冥焔の進言に皇帝はもっともだとうなずいた。
「そうだね。妃の手に渡るのは防げたとはいえ、被害者も出ている。いたずらに怖がらせるのは不本意ではあるが、気をつけておくにこしたことはないからね。」



