「えぇぇ! レイアちゃんと渡錬くん、同じ部屋で寝てるのぉ!? きゃ~~~~っ」
「やるじゃん、シド! お前はもっと奥手だと思ってたんだけどなぁ」
「「そんなんじゃないから!」」
エリサとアルトを教会へ案内した。二人ともつかれていた様子だし、休んでもらおうと思ったのだが……。
教会に到着するなりこれだ。
「し、仕方ないんだよ。教会だと、まともに使えるのがこの部屋しかないんだからさ。寒くなってくると、あっちの礼拝堂じゃ広くて温まらないだろ」
「そ、そうなのっ。別に他意はないんだからねっ。本当よっ」
「あ、れれ? そうなのぉ、レイア?」
エリサは猫のレイアを抱き上げ、何かごにょごにょ話していた。
その間、俺はアルトに絡まれる。
「なぁ、シド。ほんっとうに何もないのか? 十七年ぶり――じゃなくって数日ぶりか。いやそれでも前世で数年ぶりだったじゃん。久しぶりに学校のアイドルと再会したんだぞ。もう、懐かしい恋心とか湧かないか?」
「大沢、何言ってんだ……」
「あ、うん。わかった。ほんっとお前って淡泊だよなぁ」
「悪かったな」
懐かしいって、それじゃまるで、以前から俺が彼女に恋してたみたいじゃないか。
そりゃあ風見さんは優しくて美人だったし、いいなと思ったことはある。
でもそれだけだ。
ロクでもない家庭環境だった俺みたいな奴と、付き合おうって人はいないだろう。
いや、いたとしても……相手に迷惑をかけるだけだ。
俺は恋人なんて、望んじゃいけない人間だったんだよ。
「にしても……凄いところだな」
「凄い? あぁ、ここってずっと前に滅んだ町だから、瓦礫ばっかりで――」
「いやそうじゃなくってさ。レイアは今猫の姿だし、ある意味人間はお前ひとりじゃん。他は獣人族にユタドラゴン、それからアルパディカだぜ。あ、あと猫」
「猫って言わないでっ。猫だけど」
「あっはっは。なんかウケる」
レイアが抗議をしたものの、本気で怒ってるわけじゃない。その証拠に彼女は笑っていた。
ま、確かに人間率が低いよなぁ。
「オ、オレたちは先日から、その、ここでご厄介になっているだけで」
「あ、そうなんだ? へぇ。ってことはもともとこの町の住民じゃなかったのか」
「あぁ。オレたちはここから西の山を越えた先で暮らしていたんだ。だが盗賊に襲われ……」
バサラが悔しそうに唇を噛んだ。
「バサラたちの故郷を襲ったのって、鈴木たちなんだろ?」
「そうだ。だがあの男とその仲間は、奴隷商人に雇われただけの連中だ」
「ちょっと待って。鈴木って、まさかあの鈴木か!?」
鈴木の名を聞いただけで、アルトは声を荒げた。俺たちにとって鈴木は、自分の仇ともいえる奴だからな。陽気な性格の大沢だって、さすがに頭にくるはずだ。
「はぁ……あの野郎もいると思ったけどさ、まさか以前以上の悪党になっていたとは」
「あぁ、まったくだよ。ただの不良では終わらす、正真正銘のクズになりやがったんだ」
「はぁ……三年二組の面汚しだ」
俺たちは互いに溜息を吐き、それからうつむいた。
「ふ、二人はあの盗賊の頭と知り合いなのか? その、奴も志導殿のことを知っているようだったし」
「あ、その……」
「知り合いって言えばそうなるか。な、シド。実は俺たち、同郷なんだよ」
そう言ってアルトが目配せする。
そういうことにしておけってことだろう。それに、ある意味間違ってはいないし。
「あいつさ、とにかく曲がったことばっかりする奴だったんだ。里を出た後どこに行ったかと思ったら、まさか盗賊になっていたとは。でも、思いもしなかった、とは言えないんだよな」
「あいつの性格だと、なるべくしてなったと言えなくもないな」
アルトの話に合わせておく。
それを聞いたバサラたちは、素直に納得してくれたようだ。
「だから、ごめんっ」
「な、なにを!? ア、アルト殿っ」
「俺たちのせいで鈴木がああなったわけじゃないけど、それでもごめんっ」
アルトは獣人族に頭を下げた。
彼のこういう素直なところが、俺は好きだった。だから友人になれたのかもしれない。
「い、いや、頭をあげてくれアルト殿っ。同郷だという理由だけで、君らのせいではないのだからっ」
「それはわかってるけどさ。それでもやっぱり、俺の気が済まないから。俺なんかで力になれることがあったら、なんでも言ってくれよ。シドがどうにかしてくれるはずだから」
「そうだよ、バサ――ん? 俺がどうにかするのか?」
「そうそう。シドが」
「俺だけ? お前は?」
アルトはにっこり笑って「見てるだけ」と答えた。
真剣な話をしているのかと思ったのに、相変わらずシリアスに耐えれない奴だなぁ。
おっ。そうだ。
「アルト。お前って冒険者ってことは、強かったりする?」
「ふっ。よくぞ聞いてくれた! 冒険者ってランクあってさ。七段階あるんだよ。上がSで、次がA。最後がFなんだけどな。俺さ~、Cランクなんだぜ~」
「ふーん。ど真ん中じゃん」
「おまっ。バカ言うなよ。冒険者界隈ってのはな、ほっとんどがDとEランクなんだよ。なんだったら何年たっても最下位のFのままって奴だっているんだぜ」
だからCは、腕利き冒険者の枠に入るらしい。
なら好都合だ。
「アルト。俺の代わりに獣人族の里にいかないか?」
「やるじゃん、シド! お前はもっと奥手だと思ってたんだけどなぁ」
「「そんなんじゃないから!」」
エリサとアルトを教会へ案内した。二人ともつかれていた様子だし、休んでもらおうと思ったのだが……。
教会に到着するなりこれだ。
「し、仕方ないんだよ。教会だと、まともに使えるのがこの部屋しかないんだからさ。寒くなってくると、あっちの礼拝堂じゃ広くて温まらないだろ」
「そ、そうなのっ。別に他意はないんだからねっ。本当よっ」
「あ、れれ? そうなのぉ、レイア?」
エリサは猫のレイアを抱き上げ、何かごにょごにょ話していた。
その間、俺はアルトに絡まれる。
「なぁ、シド。ほんっとうに何もないのか? 十七年ぶり――じゃなくって数日ぶりか。いやそれでも前世で数年ぶりだったじゃん。久しぶりに学校のアイドルと再会したんだぞ。もう、懐かしい恋心とか湧かないか?」
「大沢、何言ってんだ……」
「あ、うん。わかった。ほんっとお前って淡泊だよなぁ」
「悪かったな」
懐かしいって、それじゃまるで、以前から俺が彼女に恋してたみたいじゃないか。
そりゃあ風見さんは優しくて美人だったし、いいなと思ったことはある。
でもそれだけだ。
ロクでもない家庭環境だった俺みたいな奴と、付き合おうって人はいないだろう。
いや、いたとしても……相手に迷惑をかけるだけだ。
俺は恋人なんて、望んじゃいけない人間だったんだよ。
「にしても……凄いところだな」
「凄い? あぁ、ここってずっと前に滅んだ町だから、瓦礫ばっかりで――」
「いやそうじゃなくってさ。レイアは今猫の姿だし、ある意味人間はお前ひとりじゃん。他は獣人族にユタドラゴン、それからアルパディカだぜ。あ、あと猫」
「猫って言わないでっ。猫だけど」
「あっはっは。なんかウケる」
レイアが抗議をしたものの、本気で怒ってるわけじゃない。その証拠に彼女は笑っていた。
ま、確かに人間率が低いよなぁ。
「オ、オレたちは先日から、その、ここでご厄介になっているだけで」
「あ、そうなんだ? へぇ。ってことはもともとこの町の住民じゃなかったのか」
「あぁ。オレたちはここから西の山を越えた先で暮らしていたんだ。だが盗賊に襲われ……」
バサラが悔しそうに唇を噛んだ。
「バサラたちの故郷を襲ったのって、鈴木たちなんだろ?」
「そうだ。だがあの男とその仲間は、奴隷商人に雇われただけの連中だ」
「ちょっと待って。鈴木って、まさかあの鈴木か!?」
鈴木の名を聞いただけで、アルトは声を荒げた。俺たちにとって鈴木は、自分の仇ともいえる奴だからな。陽気な性格の大沢だって、さすがに頭にくるはずだ。
「はぁ……あの野郎もいると思ったけどさ、まさか以前以上の悪党になっていたとは」
「あぁ、まったくだよ。ただの不良では終わらす、正真正銘のクズになりやがったんだ」
「はぁ……三年二組の面汚しだ」
俺たちは互いに溜息を吐き、それからうつむいた。
「ふ、二人はあの盗賊の頭と知り合いなのか? その、奴も志導殿のことを知っているようだったし」
「あ、その……」
「知り合いって言えばそうなるか。な、シド。実は俺たち、同郷なんだよ」
そう言ってアルトが目配せする。
そういうことにしておけってことだろう。それに、ある意味間違ってはいないし。
「あいつさ、とにかく曲がったことばっかりする奴だったんだ。里を出た後どこに行ったかと思ったら、まさか盗賊になっていたとは。でも、思いもしなかった、とは言えないんだよな」
「あいつの性格だと、なるべくしてなったと言えなくもないな」
アルトの話に合わせておく。
それを聞いたバサラたちは、素直に納得してくれたようだ。
「だから、ごめんっ」
「な、なにを!? ア、アルト殿っ」
「俺たちのせいで鈴木がああなったわけじゃないけど、それでもごめんっ」
アルトは獣人族に頭を下げた。
彼のこういう素直なところが、俺は好きだった。だから友人になれたのかもしれない。
「い、いや、頭をあげてくれアルト殿っ。同郷だという理由だけで、君らのせいではないのだからっ」
「それはわかってるけどさ。それでもやっぱり、俺の気が済まないから。俺なんかで力になれることがあったら、なんでも言ってくれよ。シドがどうにかしてくれるはずだから」
「そうだよ、バサ――ん? 俺がどうにかするのか?」
「そうそう。シドが」
「俺だけ? お前は?」
アルトはにっこり笑って「見てるだけ」と答えた。
真剣な話をしているのかと思ったのに、相変わらずシリアスに耐えれない奴だなぁ。
おっ。そうだ。
「アルト。お前って冒険者ってことは、強かったりする?」
「ふっ。よくぞ聞いてくれた! 冒険者ってランクあってさ。七段階あるんだよ。上がSで、次がA。最後がFなんだけどな。俺さ~、Cランクなんだぜ~」
「ふーん。ど真ん中じゃん」
「おまっ。バカ言うなよ。冒険者界隈ってのはな、ほっとんどがDとEランクなんだよ。なんだったら何年たっても最下位のFのままって奴だっているんだぜ」
だからCは、腕利き冒険者の枠に入るらしい。
なら好都合だ。
「アルト。俺の代わりに獣人族の里にいかないか?」



