「久しぶりだなぁ、渡錬。また昔みたいに遊ぼうぜぇ」
「す……鈴木……いや俺、お前と遊んだこと一度もないんだけど?」
遊んだことあったっけ?
大沢の家には何度か遊びに行かせてもらった事あある。その時、同じクラスの水戸もよくいたっけ。
俺は親がアレなせいで友達と呼べるようなのはほとんどいなかったから、おかげで高校時代に遊んだことのあるクラスメイトのことは覚えている。
「うん。やっぱ俺、お前と遊んだことないわ」
「うるせぇ! お友達ごっこの話をしてんじゃねーよっ」
「だったらなんの話をしているんだよ。お前さ、前々から言おうと思ってたんだけど、ありもしない話でいちいち怒ったりしてさ。妄想癖ありすぎるんじゃないのか?」
じろじろ見てんじゃねーよとか、突然教室で怒鳴ったりしてたけどさ。むしろ奴と目を合わせるとウザ絡みされるから、みんな目を合わせないようにしてたのに。
「机の角で小指をぶつければ、わざと机を移動させたんだろうとか叫ぶわ、売店でラスイチのパンが買えなかった時には、お前らが飢え死にさせようと企んでんだろうとかさ」
「だ、だま、黙れ貴様、ぶっ殺すぞ!!」
鈴木とは高二と高三で同じクラスだったが、二年の間で「ぶっ殺すぞ」ってセリフ、何回聞いたか。
こいつは何かと俺に絡むんだよな。
大沢曰く、奴にとって俺は、自分の悪童としての地位を脅かす存在だったらしい。
親が刑務所暮らしというだけで、箔があるように見えたんだろうって言っていた。
バカらしい。親が刑務所にいるからって、いいことなんて何もないのに。
「レイア。鈴木に気付かれない方がいい。顔を隠せるものをクラフトするから、それを使って」
「う、うん。わかったわ」
鈴木は俺のことしか頭にないようだ。それに、俺の後ろにいたことで、レイア――風見さんには気づいていない様子。
顔を隠せるもの――と言ったらマスクしか思い浮かばない。
口元を覆いマスクではなく、顔を隠す方のマスクだ。
とりあえずサイズとかまったくわからないし、木製で作るのは難しいだろう。アーサ布で隠すか。
なんかこう、占い師みたいな感じで。
「聞いてんのか渡錬ぃ」
「あぁ、聞いてるよ。それで、なんでお前さ、あの時道路に飛び出したんだよ。めちゃくちゃ迷惑なんだけど。お前さ、さっき俺のことぶっ殺すって言ったけど、もう殺されてるからな」
「俺のこの手でぶっ殺すっつってんだよ!」
話をしながらもササっとクラフトを済ませる。
忍者の額宛てみたいなものを木材でクラフトし、頭に結べるよう紐を通した。
「仲間がいないとできないのか。前世ではさ、大宮と越後だけだったじゃん。今回はまた大勢だなぁ。その人数がいないと、俺を殺せないのか」
「んなっ。こ、この野郎、転生してから大口叩くようになったじゃねえか」
「いや、転生してないから俺」
「う、うるせぇ! 転生も転移も変わらねえだろうがっ」
いやいや、生まれ変わるのと転移とでは、この世界に対する知識量が全然違うだろ。
よし、クラフト完成。
額宛てからアーサ布を垂らして、異世界ファッションとして不自然にならないようなものにしてみた。
まぁこの世界のファッションなんて知らないけど。
目がくるだろう部分の縫い目は荒くしてある。これで視界も多少は確保できるだろう。
「レイア、これ」
「うん」
「でも鈴木にはなるべく近づかないように。布だからな。ふわっとしたら見られるかもしれない」
「わかったわ。でも志導くんは――」
「大丈夫。ユタが近くにいるから」
ユタの側には氷属性が得意なディアもいる。飛び出しそうなユタを必死で抑えているんだろうな。
「はぁ……あぁ、そうさ。お前を嬲り殺すために手下を連れてきたんだよ! お前ら、渡錬をぶっ殺せ!」
「後ろの女は?」
「好きにしろ。あと止めは刺すな。俺がやるんだからな」
「お前らぶっ殺せって言ったくせに、止めを刺すなとか酷い奴だな」
「うるせぇ渡錬ぃぃぃぃぃぃっ」
こいつは絶対攻撃スキルを持っている。そして十中八九、近接攻撃だ。
距離を取れっ。
二十人近い奴らが一斉に動く。と同時にレイアも動いた。鈴木と距離を取るよう、剣を抜いて他の奴らに斬りかかって行った。
そして、彼女に変わって俺の側へと飛び出してきたのは――。
「シャアァァーッ」
「ユタ!」
「シドー、オイラ、マモル!!」
「クッ。な、なんだこのトカゲは!?」
あ、それ禁句なのに……。
「ンアアァァーッ!!!」
尻尾をビタンビタン打ち鳴らすユタ。ほら、怒ったじゃないか。
「ユタ、気をつけろっ。そいつ絶対、近接攻撃スキルを持ってるはずだっ」
「クククククク」
小さいとはいえ、見た目は恐竜だ。鈴木は警戒して足を止め、それから後ずさった。
「おい、やれ!」
そして手下に号令をかける。
その時、上空に光が点滅した。この光は……レイア、か?
降り注ぐ光から彼女の何かを感じた。見るとレイアがこちらに視線を向け頷いている。
光、の魔法か。ありがたい。月光だけじゃ薄暗くて心もとなかったんだよ。
そして明るくなったことでより鮮明に鈴木の顔が見えた。
こいつ、やっぱりレイアと同じで若いな。
そうなると、転生組は全員十七歳説は正しかったことになる。
「ハッハァー。恨みはねえが、デュークの兄貴の命令だから恨むなよ!」
「デューク?」
もしかして鈴木の今世での名前なのか。
剣を振りかざして走ってきた男は、俺ばかり見ていたせいでユタを視界に入れていなかった。
だから、ユタの爪で足の腱を切られヘッドスライディングするはめに。
ここは建物の九割が瓦礫になった町だ。そこかしこに瓦礫は落ちている。
自分の勢いで倒れ込んだ男は、瓦礫に頭から突っ込んで動かなくなった。
う……し、死んだのか?
で、でも自業自得だよな。襲ってきたのはあっちなんだ。俺たちは何も悪くない。
ユタは俺を守ってくれているだけだ。
そうだ。
この世界じゃ、やらなきゃやられるんだ。
クラフトしておいた木製バットを取り出す。
俺だって……俺だってやるぞ!
「す……鈴木……いや俺、お前と遊んだこと一度もないんだけど?」
遊んだことあったっけ?
大沢の家には何度か遊びに行かせてもらった事あある。その時、同じクラスの水戸もよくいたっけ。
俺は親がアレなせいで友達と呼べるようなのはほとんどいなかったから、おかげで高校時代に遊んだことのあるクラスメイトのことは覚えている。
「うん。やっぱ俺、お前と遊んだことないわ」
「うるせぇ! お友達ごっこの話をしてんじゃねーよっ」
「だったらなんの話をしているんだよ。お前さ、前々から言おうと思ってたんだけど、ありもしない話でいちいち怒ったりしてさ。妄想癖ありすぎるんじゃないのか?」
じろじろ見てんじゃねーよとか、突然教室で怒鳴ったりしてたけどさ。むしろ奴と目を合わせるとウザ絡みされるから、みんな目を合わせないようにしてたのに。
「机の角で小指をぶつければ、わざと机を移動させたんだろうとか叫ぶわ、売店でラスイチのパンが買えなかった時には、お前らが飢え死にさせようと企んでんだろうとかさ」
「だ、だま、黙れ貴様、ぶっ殺すぞ!!」
鈴木とは高二と高三で同じクラスだったが、二年の間で「ぶっ殺すぞ」ってセリフ、何回聞いたか。
こいつは何かと俺に絡むんだよな。
大沢曰く、奴にとって俺は、自分の悪童としての地位を脅かす存在だったらしい。
親が刑務所暮らしというだけで、箔があるように見えたんだろうって言っていた。
バカらしい。親が刑務所にいるからって、いいことなんて何もないのに。
「レイア。鈴木に気付かれない方がいい。顔を隠せるものをクラフトするから、それを使って」
「う、うん。わかったわ」
鈴木は俺のことしか頭にないようだ。それに、俺の後ろにいたことで、レイア――風見さんには気づいていない様子。
顔を隠せるもの――と言ったらマスクしか思い浮かばない。
口元を覆いマスクではなく、顔を隠す方のマスクだ。
とりあえずサイズとかまったくわからないし、木製で作るのは難しいだろう。アーサ布で隠すか。
なんかこう、占い師みたいな感じで。
「聞いてんのか渡錬ぃ」
「あぁ、聞いてるよ。それで、なんでお前さ、あの時道路に飛び出したんだよ。めちゃくちゃ迷惑なんだけど。お前さ、さっき俺のことぶっ殺すって言ったけど、もう殺されてるからな」
「俺のこの手でぶっ殺すっつってんだよ!」
話をしながらもササっとクラフトを済ませる。
忍者の額宛てみたいなものを木材でクラフトし、頭に結べるよう紐を通した。
「仲間がいないとできないのか。前世ではさ、大宮と越後だけだったじゃん。今回はまた大勢だなぁ。その人数がいないと、俺を殺せないのか」
「んなっ。こ、この野郎、転生してから大口叩くようになったじゃねえか」
「いや、転生してないから俺」
「う、うるせぇ! 転生も転移も変わらねえだろうがっ」
いやいや、生まれ変わるのと転移とでは、この世界に対する知識量が全然違うだろ。
よし、クラフト完成。
額宛てからアーサ布を垂らして、異世界ファッションとして不自然にならないようなものにしてみた。
まぁこの世界のファッションなんて知らないけど。
目がくるだろう部分の縫い目は荒くしてある。これで視界も多少は確保できるだろう。
「レイア、これ」
「うん」
「でも鈴木にはなるべく近づかないように。布だからな。ふわっとしたら見られるかもしれない」
「わかったわ。でも志導くんは――」
「大丈夫。ユタが近くにいるから」
ユタの側には氷属性が得意なディアもいる。飛び出しそうなユタを必死で抑えているんだろうな。
「はぁ……あぁ、そうさ。お前を嬲り殺すために手下を連れてきたんだよ! お前ら、渡錬をぶっ殺せ!」
「後ろの女は?」
「好きにしろ。あと止めは刺すな。俺がやるんだからな」
「お前らぶっ殺せって言ったくせに、止めを刺すなとか酷い奴だな」
「うるせぇ渡錬ぃぃぃぃぃぃっ」
こいつは絶対攻撃スキルを持っている。そして十中八九、近接攻撃だ。
距離を取れっ。
二十人近い奴らが一斉に動く。と同時にレイアも動いた。鈴木と距離を取るよう、剣を抜いて他の奴らに斬りかかって行った。
そして、彼女に変わって俺の側へと飛び出してきたのは――。
「シャアァァーッ」
「ユタ!」
「シドー、オイラ、マモル!!」
「クッ。な、なんだこのトカゲは!?」
あ、それ禁句なのに……。
「ンアアァァーッ!!!」
尻尾をビタンビタン打ち鳴らすユタ。ほら、怒ったじゃないか。
「ユタ、気をつけろっ。そいつ絶対、近接攻撃スキルを持ってるはずだっ」
「クククククク」
小さいとはいえ、見た目は恐竜だ。鈴木は警戒して足を止め、それから後ずさった。
「おい、やれ!」
そして手下に号令をかける。
その時、上空に光が点滅した。この光は……レイア、か?
降り注ぐ光から彼女の何かを感じた。見るとレイアがこちらに視線を向け頷いている。
光、の魔法か。ありがたい。月光だけじゃ薄暗くて心もとなかったんだよ。
そして明るくなったことでより鮮明に鈴木の顔が見えた。
こいつ、やっぱりレイアと同じで若いな。
そうなると、転生組は全員十七歳説は正しかったことになる。
「ハッハァー。恨みはねえが、デュークの兄貴の命令だから恨むなよ!」
「デューク?」
もしかして鈴木の今世での名前なのか。
剣を振りかざして走ってきた男は、俺ばかり見ていたせいでユタを視界に入れていなかった。
だから、ユタの爪で足の腱を切られヘッドスライディングするはめに。
ここは建物の九割が瓦礫になった町だ。そこかしこに瓦礫は落ちている。
自分の勢いで倒れ込んだ男は、瓦礫に頭から突っ込んで動かなくなった。
う……し、死んだのか?
で、でも自業自得だよな。襲ってきたのはあっちなんだ。俺たちは何も悪くない。
ユタは俺を守ってくれているだけだ。
そうだ。
この世界じゃ、やらなきゃやられるんだ。
クラフトしておいた木製バットを取り出す。
俺だって……俺だってやるぞ!



