「ねぇ……赤いの、ちょうだい」















その場で180度向きを変えてしまった私は、「振り返った」と判断されたのだろう。


目の前に、ニタリと笑う「赤い人」が現れたのだ。


「テメェ!! 見てやがったのかよ!」


「絶対に……絶対に放さない!! あんたもここで死ね!!」


私にできる、最後の抵抗。


「赤い人」が、私を殺してくれるまで、何度も何度も頭を殴られて意識が飛びそうになる。


袴田に殺されたのか、「赤い人」に殺されたのかは分からない。














だけど、私が死んだ時には、その手は袴田の脚を放してしまっていた。