そしてその中に……それは堂々と置かれていた。


まるで、早く見つけてと言っているかのように。


「こ、これが……明日香のカラダ……」


機材と機材の間で、不気味な存在感を放つそれは、まぎれもなく人の……明日香の腰の部分だった。


スカートを展示しているように、そこに置かれている。


なぜそれが不気味なのかが、なんとなく分かった気がする。


どうやったのかが分からないような、きれいな切り口。


へその辺りと、太股辺りで切断されているであろうそのカラダは、内臓や血といった物が、切断面から出ていない。


まるで人体模型のようだけど……触ってみると柔らかく、作り物ではない事が分かる。


ゆっくりと、両手で持ち上げて抱き締めた私は、なぜかそれに安心感を覚えた。


昔にも……こんな事があったような気がする。


私が明日香を抱き締めたんじゃなくて、明日香に抱き締められた記憶が。


でも、頭の中にモヤがかかったように、その記憶の中の明日香の顔が思い出せない。


他の事は、なぜか鮮明に覚えているのに。


それは、きっとカラダを全部集めた時に分かる。


だから今は、このカラダを運ぼう。


伊勢が言っていた、玄関前ホールの棺桶に……。