「そ、その明日香って人は、伊勢君の友達? それとも彼女?」


友達がいない私は、こんな時に何を話せばいいかが分からない。


「どっちだろうな。ハッキリ付き合うって言われたわけでもねぇ。その前に消えちまった」


私は……もしかして、きいてはならない事をきいてしまったのかな?


「ご、ごめん……変な事きいちゃったね。私、友達がいないから、話すの苦手なんだ」


そんな事を話しながら、ふたりで校門を抜けた時、私の身体をなでるような風が吹いた。


思わず校舎の方を振り返った私は……それを見てしまった。



校門の向こう側に、ぬいぐるみを持って、私に不気味な笑みを浮かべる「赤い人」の姿を。