まあ、ひとつの教室を調べ終わる事ができたというのは、「カラダ探し」の終わりに近付いたという事だから、それはそれで割り切るしかない。


白いスクリーンをなでるように歩いて、視聴覚室の後ろを見た私は、真っ暗な室内に、携帯電話の照明で浮かび上がるもうひとつの部屋を見つけた。


そう言えば、私は入った事がないけれど、機材が置かれている部屋があったんだ。


視聴覚室は「観る側」という立場でしか利用しないせいか、その部屋の事を忘れていた。


もしかすると……いや、なんだかそこにカラダがあるような気がして。


私は入り口へと急いだ。


どうしてそう思ったのかは分からない。


でも、他の部屋とは何かが違う気がする。


明日香が……助けを求めているような、そんな感じがして。


私は、機材が置かれているその部屋のドアを開けた。


「うわ……中はこんな風になってるんだ」


古くなって、使われなくなった旧型の機材や、椅子等が置かれていて、狭い部屋がより狭く感じる。