もしかして翔太は、私の事を……。
本当の友達だと思ってくれたんだ。
こんな状況だけど、そう考えると、少しうれしくて。
どこに行っていいか分からないけれど、私は生産棟に向かって逃げた。
西棟と生産棟をつなぐ渡り廊下に差しかかった時。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
という、校舎全体を震わせるかのような叫び声が、背後から聞こえた。
今の声は何!? 翔太が机をぶつけたから、「赤い人」が怒ったの!?
だとすると、本当に翔太には申し訳ない。
いくら友達だからって、「赤い人」を任せて逃げるなんて、私はなんて情けないのだろう。
かと言って、今から戻っても、私に何ができるわけでもない。
無駄に死ぬだけなら、部屋のひとつも調べてからじゃないと、どんな顔をして翔太と会えば良いかが分からないから。
生産棟に入って、すぐにある階段。
目的地は決めていないけれど、とにかく私は三階の方に向かった。
どこに行けばカラダがあるんだろう。