掃除用具入れ、個室と、探したけれどここにはない。
伊勢は前回、校長室で見つけたと言っていた。
他には、どこに隠されていたのかを聞いておけば良かったな。
そんな事を考えながら、男子トイレを出ようとした時だった。
「キャハハハハハハッ!」
あの笑い声が、私の耳に入ってきたのだ。
その声に、トイレから出ようとした足を止める。
誰か、「赤い人」に見つかったの?
でも、すぐ近くから聞こえているわけじゃない。
廊下の壁に反響している、その音源は遠くにある。
たぶん私達が上って来た、北側の階段の方だと思うから、いったい誰が見つかったんだろう?
伊勢と留美子は、まだ殺されていないのなら東棟にいるはずだし、翔太は今頃、私達の教室を調べているはず。
それに、あのふたりは保健室で……。
「あっ!」
そこまで考えて、私はその答えを導き出した。
きっと、三階まで聞こえたんだ。
二見の艶っぽいあえぎ声が……。
だから「赤い人」は、その声のする場所に向かっているのだ。
つまりそれは、袴田と二見の死を意味していた。