「酷かもしれないけど、東棟に『赤い人』が現れたのなら、今のうちに調べられるだけ調べよう」


翔太の言葉は、受け止め方によってはひどい事を言っているようにも聞こえるけれど、その姿を見るだけで振り返る事ができなくなる「赤い人」が相手では、助けようがない。


悔しいけれど、私もその意見に賛成するしかなかった。


そして、次の教室へと向かおうと教室のドアを開けて、南側へと向かっていた時にそれは聞こえた。


階下から聞こえる、二見のあえぎ声が。


「あいつら……本気でヤってるのか!? 信じられないな……」


ほ、本当に……してるんだ。


その艶のある声に、胸がドキドキする。


ひとりになるのは危険かもしれないけど、こんな状態で翔太と一緒にいるのは、抵抗を感じずにはいられなかった。


「しょ、翔太……わ、私は、一番奥から調べてくるね」


二階にいても聞こえるくらい、激しい二見の声に、その場にいるのも恥ずかしい。


「それは危険だろ!ひとりよりふたりの方が良い!」


急に声を張り上げた翔太に、私は驚いた。