なぜ翔太が、会話もしないのに一緒に帰ろうと言ったのか、その理由に気付いたのは、部屋に戻ってからだった。


家の中に入り、返事もしないお母さんに「ただいま」と言うのも面倒で、何も言わずに二階の部屋に向かう。


夜の学校とは違った意味で、冷たく、刺すような空気のこの家に、できる事なら私はいたくはない。


でも、他に私の居場所なんかなくて……。


部屋に入ると、すぐに部屋着に着替えて、ベッドに横になった。


また眠ったら、夕食を片付けられるんだろうな。


「昨日」がそうだったから、今日もそうに違いない。


「別に食べなくてもいいや……顔を合わせたくないし」


そう呟きながら、携帯電話を開いた。


今日は、留美子だけじゃなく、翔太にも番号とメールアドレスを教えてもらったから、それを見るのが楽しみだ。


と、思って画面を見つめると……。








メールのアイコンが表示されている事に気付いた。


いつメールが届いたんだろう?


マナーモードにしていたから、気付かなかった。


そして、そのメールを開くと、時間は14時40分。


送信者は『浦西翔太』とあり、その内容で、なぜ翔太が一緒に帰ろうと言い出したのかが分かった。