あれから私達は屋上から離れ、とりあえず教室に戻った。


そこにはもう袴田と二見の姿はなく、どこかで時間を潰しているのか、それとも帰ったのかは分からないけれど……。


私にとっては、いなくて良かったと思った。


今晩の「カラダ探し」では、東棟の一階は調べ終わったから、別の場所を探さなければならない。


昨夜は分かれた翔太も、今日は私達に協力してくれるはず。


伊勢は……まだ屋上にいるのかな?


その事を考えると、どうしてだろう、チクッと刺されたように胸が痛くなる。


抱き締められたから? だからこんなに胸が痛いのかな……。


教科書には載っていない初めてのこの感情に、私は抗う術もなく、放課後まで過ごした。


昼休みに留美子と翔太と、3人で話をしたけれど、その内容もあまり覚えていない。


家に帰っても、また私は部屋にいるだけなんだろうなと考えながら、帰宅準備をしていた。


あれから、姿を見せなかった伊勢の事が気になったけど、「カラダ探し」の時にまた会えるから。


「カラダ探し」は嫌だけど、それだけは楽しみだと思える事が、私には不思議でたまらなかった。