「ふ、不謹慎だな！うらや……け、けしからん！ここをどこだと思っているんだ！」


何を動揺しているのか、眼鏡をクイクイッと何度も直す翔太。


「伊勢君は……私を抱き締めたんじゃないよ。私を明日香と勘違いしたから……」


これ以上の説明が必要だろうか？


本当に好きな人が、「カラダ探し」を頼む側になっている。


涙を流して微笑み、私達に頼むだけの人形のような明日香。


「なんか私……悪い事したかな？　高広がどう思ってるかなんて、まったく考えてなかったからね」


苦笑して、頭をポリポリとかく留美子に、私は文句なんて言えない。


いくら留美子に言われたからといっても、それを実行してしまったのは私なのだから。


「『カラダ探し』を終わらせたのに、次はそれを頼む側だもんな。やりきれないだろ、高広も」


さっきまで動揺していたのに、急に真面目な返答。


伊勢の背中を見つめながら、翔太まで、なんだか寂しげな表情を浮かべていた。