私も暇だから、授業を受けても受けなくてもどっちでもいいけど……。


伊勢の事が少し気になっていた。


別にこっち側でもいいのに、どうして私達と離れた場所に行ったのか。


「私は……伊勢君が心配だから、もう少しここにいるよ」


何気なく言ったその言葉に、ふたりは驚いたような表情を浮かべて、私の顔を見た。


「え、なになに!? 美雪、あんなバカが好きなの!?」


目を爛々とさせながら、留美子が私に詰め寄る。


そんな意味じゃないのに、勘違いさせちゃったかな。


「そ、そうなのか? あー……お、俺ももう少し時間を潰すか」


浦西まで!


「そんな意味じゃないよ! 伊勢君はさ、私の携帯に、初めて登録した友達だから……」


ふたりの誤解を解くために、私は携帯電話をポケットから取り出して、あまり人には見せたくない電話帳をふたりに見せた。


登録されているのは4件。


一番上にある『伊勢高広』という名前以外は私の家族。


「うわぁ……そっか、私の番号教えたのは『昨日』だから、消えてるんだ……」