そんな事を考えながら、携帯電話をポケットに入れた時……。











道の脇、ゴミの収集場所に置かれた、寂しげな表情のうさぎのぬいぐるみが私の目に入ったのだ。


道に落ちてるうさぎのぬいぐるみ……。


もしかして、結子さんが言っていた「赤い人」のぬいぐるみは、まさかこれじゃないよね?


なぜかそれに惹かれた私はぬいぐるみの前でかがみ、ジッと見つめる。


皆歩いているけれど、どうしても気になる。


どこかで……このぬいぐるみを見た覚えがあるような気がして。


拾っちゃダメと、結子さんに言われたけれど……そのぬいぐるみに手を伸ばしてしまう。


でも……私の視界の端に入った白い服を着た人に、その手が止まった。











誰かが……いる。








慌てて手を引っ込め、その人の方を向くけれど誰もいない。


あれ?確かにここに誰かいたのに。


気のせいかな?


「相島さん!こんな所で何してるの?皆先に行っちゃうよ?」


前方から、私を心配して来てくれたのか、浦西先輩が駆け寄って手を差し伸べる。