「美雪!ボールペン、持ってたよね?今すぐちょうだい!!」


そう言い、私の胸ポケットからボールペンを取り、急いで八代先生に駆け寄る留美子。


「八代先生!これを使ってください!!」


踊り場で困っている八代先生に、留美子は強引にボールペンを手渡した。


「え?あ……ありがとう。このボールペン、どこかで……まあ、いいか。えーっと……」


「ひ、柊留美子です!」


「ありがとう柊さん」


白い歯が、キラリと光るような爽やかなスマイル。


「留美子も大変だね……八代先生って、奥さんいるよね?」


明日香さんの言葉に、私はうなずいた。












八代先生に名前を覚えてもらってうれしそうな留美子を先頭に、カラオケ店に向かう私達。


「えーっと、10人もいるんだね。2部屋に分かれた方が良いよね?」


人数を数えていた明日香さんが、思ったよりも集まったなというような様子で私達に尋ねる。


「そうだなぁ、俺が決めてやるよ。俺と結子、あゆみは確定だろ? 後は……翔太と相島でいいんじゃねぇか?他は別の部屋だ」


「やった!お兄ちゃんと一緒の部屋だ!」