「……島、相島美雪!」
真っ暗な闇の中で、遠くから私を呼ぶ声が聞こえる……。
私は、今どこにいるんだろう?
何も思い出せない。
「相島美雪!起きなさい!」
突然声が大きくなり、私はそれに驚いて目を覚ました。
「おはよう相島。弁当を食べて眠くなったのかな?」
教卓に手を突いて、私を引きつった笑顔で見ているのは……南田先生。
「あ、す、すみません……」
慌てて目をこすり、机の上に置かれた教科書に視線を落とす。
何だろう……何か変な感じがする。
いつもと変わらない授業風景、クラスメイト達……。
寝すぎたかな?
「美雪、あんたどうしたのよ、授業中に寝るなんて珍しい」
私の後ろの席から聞こえる声は留美子。
「私にも分かんない……」
南田先生が黒板の方を向いている間に後ろを向いて話をするけど、居眠りしていた理由が分からない。
昨日は早くに寝たし、今朝だってギリギリまで寝ていたのに。
首を傾げながら教室を見回しても、変わった所はないし……。
何がなんだか良く分からないまま、私は黒板の文字をノートに書き写した。