「教えろっつってもな……だいたいの事は、もう分かってんだろ? カラダを全部見つけて、玄関前のホールにある棺桶に納めねぇと、同じ日をずっと繰り返すんだ」


明日が来ない……その言葉の意味を考えていた私は、伊勢の言葉に驚きはしなかった。


浦西も同じ事を考えていたようで、動揺したのは留美子だけ。


「ちょっと……それってヤバくない!? カラダを全部探さなかったら、ずっと今日を繰り返すって事でしょ!?」


突然声を荒らげる留美子に、私は何がヤバいのかが分からなかった。


明日が来ない事は確かに不安になるし、同じ日を繰り返すのは、精神的にもきつくなるのは分かっているはず。


「何がヤバいんだよ? 終わらせたら明日は来るんだぜ?」


さっきの喧嘩で切ったまぶたの上を触り、血を制服で拭く伊勢が尋ねる。


「そうじゃないんだって! 武司と結子の事! ずっと同じ日を繰り返すって分かったら、協力するはずなんてないじゃん……絶対に邪魔してくるって!」


あのふたりが邪魔をする?


留美子がそう思っているだけなのか、それとも本当に邪魔をしてくるのかは分からないけれど、私は少し不安になった。