次々と渡されるいろんな物に、私はとまどったけれど、その気持ちがうれしかった。


留美子の携帯電話、明日香のハンカチ、高広の制服のボタン、翔太のネクタイピン、結子のヘアピン、八代先生のボールペン。


そして……袴田のガムの包み紙。











……ゴミじゃん。


でも、袴田まで何かをくれるとは思ってなかった。


「じゃあ……皆、行ってくるね」


そう呟いて、私は西棟の屋上へと向かった。


一段、また一段と、暗い闇の中で屋上へと向かう階段を踏みしめていた。


思えば、この数日でいろんな事があったな……。


と、言っても全部同じ日なんだけど。


高広に、「赤い人」から助けてもらって、電話番号とアドレスを教えてもらった。


その日から、すべてが始まったんだ……良い事も、悪い事も。


留美子も翔太も、「カラダ探し」を一緒にしなければ、話す事はなかっただろう。


袴田なんて、あゆみちゃんの事がなければただの極悪人。


翔太を殺し、高広を恨み、とにかく皆の邪魔をした。