「弱気になるんじゃないよ。僕には分からないけど、この世界は崩れかかっているそうじゃないか……だったら、本当に『呪い』から解放されるかもしれない。ここまで来たら、やるしかないよ」


八代先生の言葉は、いつも私達を動かしてくれた。


行動だけじゃなく、その心までも。


「なんかあったら叫びなよ、すぐに中に入るからね!美雪は私が守ってあげる!」


「フッ、美雪を守るのは俺だ。美雪が好きなのは俺なんだからな」


留美子の言葉に重ねるように、翔太が自信満々に言う。


皆、私の事を心配してくれてるんだね。


「ありがとう……じゃあ、行くね」


そう呟き、私は大職員室のドアに手をかけた。


大職員室のドアを開け、ゆっくりとその中に身を滑らせる。


先生は私を気遣って電灯をつけてくれているのだろう。


明るい部屋の中に、私ひとりだけ。


ドアをゆっくりと閉めると……窓ガラスに反射した、ここからはキャビネットで死角になっている場所にその少女はいた。


頭のてっぺんから真っ赤に染まっているから……間違いない、美子だ。


キャビネットの陰から出て、私は美子と向かい合った。