「あーもう! ふたりともバカなんだから! 高広! 武司! 結子! ちょっと来て!!」


場が落ち着いて安心したのか、留美子がようやく動きを見せた。


喧嘩を止めずに、終わってから仕切る姿に唖然としたけれど、巻き込まれて殴られるかもしれないと思えば、それも当然かもしれない。


「あぁ!? 俺に命令すんじゃねぇよ!! 俺と結子はテメェらとはつるまねぇ!」


伊勢に向けられていた、殺意とも取れるような視線を留美子に向ける袴田。


俺に従わない奴、伊勢とつるむ奴は敵だと言わんばかりに私達をにらみ付ける。


そんな袴田を無視し、席を立ってこちらに歩いて来る伊勢。


この状況は、確実に袴田を敵に回したという事を意味していた。


伊勢が教室の後ろから出るのに合わせて、留美子も浦西もそれが分かっているようにその後に続いた。


何も言っていないのに、向かう場所が決まっているかのように。


移動している間、留美子は文句を言い続けていたけど、それにも慣れているように、伊勢は軽くあしらう。


これが友達なのかな?